シンポジウム1  
肝がん診療のupdate: 標準化と個別化
司会: 古賀 浩徳(久留米大学 医学部内科学講座消化器内科部門)
三馬 聡(長崎大学病院 消化器内科)
アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体)・ベバシズマブ(抗VEGF抗体)併用療法が根治術不能進行肝細胞癌(HCC)に適応拡大されて、本学会開催時点で1年以上が経過する。実臨床では治験と異なり、高齢患者・分子標的治療薬による全身治療歴を有する患者・Child-Pugh score 7 (class B)の患者が多く含まれることが想定され、同治療法のリアルな効果や有害事象について関心が集まっている。一方、免疫治療の効果を低下させる腫瘍因子として、IMbrave150試験(updated)によりあぶり出されたNASH-HCC(non-viral HCC)や、既報が示すbeta-catenin変異HCCが注目されているが、この治療効果低減は実臨床でも本当に再現されるのか、についての解析も歓迎したい。上記の視点や様々な論点を踏まえ、アテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法や既存の分子標的治療の他に、肝動脈化学塞栓療法や肝動注化学療法、放射線療法などの治療法が選択可能な時代にあって、どのようなsequential strategyを標準的とすべきか、について議論を深めたい。また、バイオマーカーを駆使した個別化医療の提案にも期待したい。