ご挨拶 

学術集会会長 木村彰男
第46回 日本リハビリテーション医学会学術集会
会長 木村彰男


第46 回日本リハビリテーション医学会学術集会開催にあたって

第46回日本リハビリテーション医学会学術集会会長
慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
 
木村彰男

 

 


 今回,第46 回日本リハビリテーション医学会学術集会を静岡市で開催させていただくにあたり,一言ご挨拶申し上げます.
 本学術集会のメインテーマは「リハビリテーション医学―夢と希望への挑戦」とさせていただきました.昨今の世の中,不況,格差,異常気象など暗い話題が続いており元気がありませんが,医療においても後期高齢者医療制度,医師の偏在,患者のたらい回しなど気が滅入るような話ばかりです.特に慢性期の患者を扱う機会の多いリハビリテーション医学・医療を取り巻く環境は,年々厳しいものとなってきていますが,このような環境を打破するべく医学・医療従事者が未来へ向かって,明るく挑戦できる様に期待を込めてこのメインテーマを選んだ次第です.リハビリテーション医学が培っている土壌は非常に幅広いものがあり,医学・医療の枠を超えて理工学など協力できる分野にはことかかず,学際的にアプローチすることにより間違いなく社会に広く貢献でき,新しい未来を切り開くことができると確信しております.
 このような観点から,充実したプログラムとなるように関係者一同の英知を結集して,シンポジウム,パネルなどの企画もののプログラムを構成しました.特に宇宙飛行士として皆様も良くご存知の向井千秋先生に,「宇宙飛行とリハビリテーション」と題する特別講演を快諾していただけたことは,非常にうれしい限りですが,のみならず宇宙医学関連の先端シンポジウムを企画でき,宇宙開発機構からの展示も実現できたことは,望外の喜びであります.廃用症候群など宇宙医学とリハビリ医学の間には共通のテーマも多く,会員の皆様にも興味深い内容で益することが大きいと思われ,今後のこの分野の発展のエポックメーキングとなれば幸いです.今ひとつの先端シンポジウムとしては,脳科学,理工学との関連の中でBrain Machine Interfaceを取り上げましたが,麻痺肢の機能獲得などに大いに役立つことが期待される最新の分野における第一線の方々からのお話は,必ずやリハビリ関連の皆様にも興味を持っていただけるものと思っております.
 さらに幅広いリハビリテーション医学・医療の各領域をカバーするべく脳卒中を始めとする6つのシンポジウムと,パネル,ワークショップも各1企画ずつ設けました.教育講演は全部で20題に及びますが,中でも電気生理学の権威である木村淳先生から講演を頂いた後,内外の専門家からのコメントをもらう特別教育セッションを新しい試みとして企画してみました.外人講演としては,米国から2名,韓国から2名,台湾,香港からそれぞれ1名のリハビリテーション専門医を招いており,頭部外傷,脳卒中,痛みなどに関して話していただきます.本学会の真の意味での国際化を意識して,今回の招待者にはHonorary member,Corresponding memberの先生も含まれています.
 少し欲張った内容の企画もののプログラムとなりましたが1万人に及ぶ会員を擁するリハビリ学会の横断的な領域をカバーするためには,多くの観点からの切り口が要求され,充実した企画ものの提供は学術集会を主催するものの使命と考えております.特に最先端の知識を習得するのみならず,生涯教育の場として新しい知識を吸収し整理することが近年の学術集会では求められており,各学会との相互乗り入れによる専門医資格維持のための単位取得も学術集会の重要な役割となってきています.これらの目的にかなうプログラムをバランスよく限られた期間ならびに会場に盛り込むことは今後も重要なことと考えられ,そのような意味で今回の学術集会の企画ものへの取り組みが,何らかの試金石となれば幸いです.
 企画もののプログラムについて述べましたが,一番大切な会員の皆様の日頃の研究成果を発表する一般演題も,650題を超える演題数となりました.静岡という地方都市での開催のため,演題数の減少が懸念されましたが,ほぼ予想通りの演題の応募があり,宿泊設備などの問題を考えるとちょうど良い演題数と考えております.最近の本学術集会における発表は,内容,質ともに良くなっており,今から皆様の発表が楽しみです.
 今回の学術集会で強く意識したのは一般の方へのメッセージの発信です.従来から学会が行っている県民・市民公開講座には,文化勲章受章者である経済学者の宇沢弘文先生をお招きして,「日本の療はこのままでいいのか?」というテーマで,静岡新聞社・静岡放送との共催により最終日の土曜の午後に開催することとなりました.宇沢先生の講演を受けて,患者さん,医師からの講演も予定しており,経済的観点から医療を考えるのみでなく,ややもすると希薄になってきている現在の医師患者関係など現在の医療の抱える問題を浮き彫りにしてみたいと思っております.また今回は新たな試みとして,機器展示も健康,介護,福祉領域の企業に幅広く広く声をかけ,会員の方のみならず一般の方へも公開とし,医療相談コーナーのようなものも設け,社会に貢献する場を提供することとしました.
 ところで静岡は大きな学術集会が開かれることが少なく,皆様には比較的なじみが薄い地域と存じますが,日本のシンボルである富士山のお膝元であり,周囲には伊豆箱根などの観光地も控えております.お茶が有名ですが,昨今では日本酒も高い評価を受ける様になっており,駿河湾の豊富な魚介類とともに学会の合間に味わっていただけば思い出深いものになると思っております.会場であるグランシップは静岡駅からJRで一駅という東静岡駅にあるため多少の不便をおかけするかと思いますが,駅前でもありアクセス面もそれほどの問題はないと考えております.会場周辺に食事の場所がないという問題がありますが,数多くの企業の方々に協力いただき共催セミナーの形で,昼食をはじめ多くの食事を確保していますので,どうぞ皆様ご利用してください.
 静岡県ならびに静岡市の後援,静岡県の専門医の皆様の組織委員会への参加,多くの企業からの御支援,医局員の多大な努力などにより,何とか開催までこぎつけることができました.皆様にこの場をお借りして心から感謝申し上げます.
 ところで学術集会の成果は会員の皆様がどれだけ満足できたかという,開催終了後の評価によると思っております.静岡のリハビリ学会に来て良かったと言われる様に関係者一同,誠心誠意運営に努力致しますので,皆様どうぞ期待に胸を膨らませて御参集ください.