第55回 日本聴覚医学会総会・学術講演会

会長挨拶

第55回 日本聴覚医学会総会・学術講演会 会長
奈良県立医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座 教授
細井 裕司


 平城遷都1300年の節目の年に、奈良で第55回日本聴覚医学会並びに学術講演会を担当させていただくことになり、大変光栄に存じます。聴覚医学の最先端研究を発表し、討論するにふさわしい場を提供できますよう、教室、同門会一丸となって努力する所存ですので、ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。

 今回の主題は、「@補聴器適合検査とその周辺 A突発性難聴の治療法とその効果」です。

 高齢化が加速する中で補聴器は社会の中でますます重要な位置を占めるようになってきました。補聴器を聴覚医学の視点から取り上げるとき、補聴器の適合状態の把握は重要なテーマだと思います。聴覚医学会では補聴器の適合状態評価の方法として「補聴器適合検査の指針(2008)」を作成いたしました。現在改訂中ですが、耳鼻咽喉科における補聴器医療において重要な指針になっていくと考えております。このような状況と聴覚医学の中での補聴器の位置を鑑み、主題の一つとさせていただきました。なお、聴覚医学会の補聴器適合検査の指針だけでなく、その他の適合検査に関する研究発表も期待して「その周辺」を付け加えております。

 突発性難聴は聴覚医学の中でも重要な疾患です。現在まで多くの発表がなされてきましたが、聴覚医学会の主題に取り上げられましたのは、過去12年間では第48回の学術講演会の「突発性難聴の予後の診断」のみです。突発性難聴の治療効果については、近年聴覚医学会の難聴対策委員会や日耳鼻総会の臨床セミナーでも取り上げられ、関心が集まっています。このような状況から主題の一つとして取り上げさせていただきました。

 本学会の特徴として、十分な討論を行うことがあげられます。そこで今回は、演者を中心に参加者の間で討論が活発になるようにいくつかの工夫をしたいと考えています。

 例えば、座長の裁量で討論時間をよりフレキシブルにすること、ポスターアシストやとことん討論場の設置などです。

 ポスターアシストと申しますのは、発表はすべて従来どおり口演で行いますが、希望者には口演内容を補足する資料や口演全体を解説したポスターなどを掲示する場所を提供するものです。紙面の関係で予稿集には掲載できなかった図表や、口演の前後に参加者に見てほしいポスターなどでも結構です。内容は自由にしたいと考えています。このことによって口演内容の理解が深まり、口演後もポスターを見ながら討論できると利点があります。

 とことん討論場と名付けたものは、口演終了後も演者持参のUSBメモリーを用いてスライドを見ることができるようにパソコンを設置した討論コーナーを用意するものです。口演終了後フロアーで討論する風景をよく見かけますが、スライドを見ながら座って討論できるようにしたいと考えています。

 学会開催の11月初旬は奈良を満喫できる最もよい季節だと思います。会場の奈良県新公会堂は東大寺大仏殿にもほど近い奈良公園の中にあり、大きな屋根と能舞台、美しい庭園に特徴があります。いくつかの口演はこの能舞台でおこなっていただく予定です。また、庭園での懇親会も企画しています。

 聴覚医学会の伝統である質の高い討論を通じて、聴覚医学の発展に寄与する学会にしたいと考えています。

 奈良県新公会堂にて皆様のお越しを心からお待ち申し上げます。