第83回 日本循環器学会学術集会

シンポジウム
高齢者に対する最適な心不全治療-レジストリから見えてくる課題とは?

日本語

国内座長: 矢野 雅文(山口大学 器官病態内科学)
筒井 裕之(九州大学 循環器内科学)
わが国を含め世界中で人口の高齢化や生活習慣病の増加により心不全患者が増加の一途をたどっている。世界でも類を見ないペースで人口の高齢化が進行し、既に超高齢社会を迎えているわが国においては、高齢の心不全患者の増加が顕著であり効果的・効率的対策を打ち出すことが急務となっている。高齢心不全患者は、複数の併存症を有し病態が多様であること、エビデンスに基づく標準的薬物・非薬物治療の実施が困難であること、増悪による再入院を反復しやすいことなどが知られている。これらには、サルコぺニア・フレイルや認知症など高齢者に特有な医学的要因ばかりでなく、独居・老老介護など社会的要因も複雑に関与している。高齢者心不全に対する効果的かつ効率的な対策を実現するには、その実態を把握するとともに高精度の予後予測に基づいて治療を最適化していく必要がある。そのためには、幅広い心不全患者を対象としたレジストリを構築し、既知の予後規定因子を年齢で層別化した単純な比較にとどまらず、バイオマーカーを含む多様な要因から新たな因子を見出す視点が求められる。さらに、高齢者心不全の多様性をふまえ医療機関や地域に限定されない悉皆性の高いレジストリの構築も必要である。本シンポジウムでは、高齢者心不全治療の最適化のために必要なレジストリ研究とそこから見えてくる課題と対策を提言していただきたい。

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