第83回 日本循環器学会学術集会

プレナリーセッション
Functional MRの適応と術式

英 語

国内座長:荒井 裕国(東京医科歯科大学 心臓血管外科)

Functional MR(FMR)は、その病態の解明が進む一方で、未だに一定の外科的治療法のコンセンサスが確立していない疾患でもある。これは、本疾患が僧帽弁の逆流でありながら、病因の本質が弁膜ではなくて左室にある為である。虚血性のFMR(IMR)に関しては、CTS Netの多施設ランダム化試験が行われ、その結果に基づいて2017年にAHA/ACCのガイドラインが改訂された。中等度IMRにおいては、CABG単独に対して僧帽弁形成術の併施によりMRの再発率が有意に低下したものの、生命予後には差を認めず、僧帽弁形成術の有効性は定かではないとされクラスIIbに分類された。一方、重度IMRにおいては、僧帽弁形成術が弁置換術に比べてMRの再発率が有意に高く、弁置換術がクラスIIaに分類された。しかしながら、生命予後では弁形成術と弁置換術とで差を認めず、術後に心機能が最も改善したのは、MRの再発の無い弁形成術であった。ここで問題なのは、いずれの比較試験においても弁形成術として行われているのが単なる弁輪縫縮術であって、弁下手技のようなFMRのメカニズムに迫る形成術が行われていないことである。単なる弁輪縫縮術が弁形成術という用語に置き換えられており、その点でmisleadingな解釈に陥りかねない。本セッションでは、FMRのメカニズムの観点から、手術適応と術式の有効性および限界について論じたい。

閉じる

↑ pagetop

© 2018- 第83回 日本循環器学会学術集会. All Rights Reserved.