シンポジウム2【日本循環器看護学会-日本循環器学会 ジョイントシンポジウム】
循環器疾患患者の在宅医療を考える
座長: |
渡辺 徳(JA長野厚生連 北信総合病院 循環器内科) |
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仲村 直子(神戸市立医療センター中央市民病院) |
循環器疾患の多くは慢性の経過をたどり、在宅生活での医療継続が欠かせない。高血圧・脂質異常症の治療導入から心筋梗塞、急性心不全の入院後の慢性期治療、重症心不全のデバイス管理、または終末期・緩和ケアまで、循環器診療チームは多様な病状の患者さんと向き合わねばならない。身近な診療所はかかりつけ医として時に何十年と診療を担当する。その経過中に病院は専門的精査・治療、入院医療において関わる。現在の入院期間は数週間程度、検査入院ではわずか数日であり、退院後には在宅医療により疾患管理が継続される。エビデンスとガイドラインに適合した診断と治療が実践されて安定化した疾患でも、それらが在宅生活で維持されねば悪化は免れない。こうした管理状況は家庭・職場環境にも影響されるが、生活習慣の中で自己(家族)管理と治療アドヒアランスがより重要な位置を占める。入院医療と在宅医療は協働して包括的疾患管理、すなわち薬物療法・栄養・生活活動などの維持向上を担うべきである。高齢者または重症・終末期心不全診療にいかに取り組むか、我々循環器診療チームには喫緊の課題であり、こうした患者さんが生活の場で少しでも安心して過ごせるよう多職種が関わる地域連携が求められている。
今回のジョイントシンポジウムでは在宅医療に関わる様々な現場で働く循環器診療チームからの声、試行錯誤に耳を傾け、論議する中から明日に役立つ診療を見つけられることを期待いたします。