第19回日本心不全学会学術集会

会長挨拶

第19回日本心不全学会学術集会

会長  澤 芳樹
大阪大学大学院 心臓血管外科学 教授

今般、第19回日本心不全学会総会を大阪の地にて開催させていただくこととなりました。大変光栄なことであり、理事・代議員・会員の皆様に厚く御礼申し上げます。

日本心不全学会は1996年に11名の循環器内科分野の先駆者を発起人として設立されました。設立当初から心不全は大きな社会問題でありましたが、高齢化に伴い本邦における心不全死亡は年々増加傾向にあり、益々大きな課題となっております。日本心不全学会は心不全並びにこれに関連する分野の基礎研究から臨床研究を推進すると共に社会への啓蒙活動を積極的に行うことで、心不全の研究・予防・診療に大きく貢献してきました。そして、近年の技術革新に伴い心不全に関する基礎臨床研究は、大きく幅を広げ診療科・職種・専門分野の垣根を越えて発展を続けております。特に、臨床においては循環器内科をはじめ他診療科・コメディカルを融合した「ハートチーム」の発展的構築、基礎においては分子生物学、ゲノム解析、遺伝子導入、イメージング、細胞電気生理学、in silico解析など様々な分野の最新のテクノロジーを用いた包括的検討が、「科学的エビデンス」を生み出し、新しい予防・診断・治療へと結びついております。

今般、この心不全学会総会を外科医としては初めて主宰させていただくこととなりましたが、これは心不全学会を主導してこられた諸先輩方あるいは会員の皆様からの、「ハートチーム」の1プレイヤーとしての外科医への期待と激励であると考えております。私が天職としております心臓血管外科におきましても「心不全の克服」は長年の最も大きな課題であります。私の所属教室である大阪大学第一外科そして心臓血管外科におきましては、心不全患者の外科手術あるいは開心術後の心不全を克服するために、様々な基礎臨床研究を縦断的に遂行し、手術手技・医療機器・術後管理の開発を行ってきました。特に、補助人工心臓の開発と心臓移植の推進につきましては、過去50年間他施設と連携しながら、教室をあげて最も力を入れて取り組んできた課題であります。また、心不全に対する再生治療を中心とした先進治療を、次世代型の心不全治療として積極的に研究開発してきました。中でも、自己骨格筋芽細胞シート移植治療は、企業治験を経て本邦初の心不全に対する細胞治療として薬事申請に至りました。

このような心不全に対する先進治療を開発する上で最も重要なことは、他分野との綿密な連携であります。すなわち、安全かつ効果の高い新しい治療を迅速に心不全患者に届けるためには、基礎研究・橋渡し研究・診断治療において専門分野横断的なグローバルなチームを科学的根拠に基づいて構築し、それぞれのチームを有機的に統合することが必要であり、そしてそれぞれのチームの構成員同士が「One-for-all, All-for-one」の精神で繋がることが必要不可欠であります。そして、このチームが科学的アプローチによって生み出した新しい診断・治療を、社会が適切かつ公平に検証するシステムの構築が重要であると考えております。

そこで、本総会のテーマは「心不全を科学する~社会とともに~」とさせていただきました。本学会の今までの伝統を踏襲し多分野の先進的な研究について議論していただくために、海外招請講演を含めた様々な分野の先駆者による教育的講演に加えて、ハートチームカンファレンスと称したパネルディスカッション形式のセッションを設け、専門分野横断的に議論の必要のある様々な課題につき理解を深めていただきます。また、専門的なホットトピックにつきましてはワークショップとして十分に掘り下げていただきます。また総会の「核」というべき、一般演題につきましては、口演あるいはポスターとして発表していただいた上で、議論を尽くしていただき、優秀な演題を表彰いたします。また各関連学会との交流を活性化するために、ジョイントシンポジウムを設けると共に、第24回日本小児心筋疾患学会ならびに第34回日本心臓移植研究会との合同開催とさせていただきます。

会員の皆様、心不全診療と研究に従事する皆様、同分野に興味のある皆様に多数ご参加いただき実り多い学術集会になるよう鋭意準備を進めておりますので、何卒ご支援・ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。会場となりますグランフロントは2年前にオープンした西日本随一の巨大複合施設であり、新生されたJR大阪駅に直結しておりますので交通の便も良く、会員の皆様同士の交流も一層深めていただけるものと存じます。皆様と10月に大阪の地でお目にかかれるのを楽しみにしております。