教育講座2 「理屈を知らずに心電図を読んでいませんか?」

心電図は1903年にWillem Einthovenにより発明され、その装置は現在の心電計と変わらないほど正確に心電図を描き出す性能を持っていた。しかし、当時、心電図を読みこなす知識はなく、心電計は使い道のない研究用装置とされていた。そのころドイツに留学した田原淳は寝る暇もない過酷な作業に耐え、ついに、心臓には「刺激伝導系」という道筋があり、そこを電気刺激が伝わることで心臓が正しく拍動することを突きとめ、1905年に発表した。田原の研究により、心電図は命を吹き込まれ、心臓内の電気刺激の流れを示し、波形の乱れにより心臓のどこに異常があるかを診断できる臨床的に有用な検査法となった(TERUMO医療の挑戦24.田原淳を参考)。

これから分かるように、心電図はその背景を知ってこそ判読できるものである。本教育講座では、“理屈を知らずに心電図を読んでいませんか?”、と題して、改めて注目されている、“たこつぼ症候群”と、臨床で極めて重要な“抗不整脈薬の催不整脈作用”、について、お二人の先生に講演していただく。理屈を知れば、きっと心電図の取り方、読み方が変わるはずである。