持続性心房細動に対するアブレーション適応とトータルマネージメント
Total Management of Catheter Ablation for Persistent Atrial Fibrillation

松本 万夫
東松山医師会 東松山医師会病院
青沼 和隆
筑波大学医学医療系 循環器内科学

心房細動は最も一般的な不整脈であり、その有病率は近年増加傾向にあり、今後来るべき未曾有の超高齢化社会の到来によって益々増加するものと考えられる。

心房細動に対する治療の考え方として、抗凝固薬による脳血栓塞栓発症を予防する治療が必須治療であるが、それに加えて、症例に応じカテーテルアブレーションによる積極的洞調律維持治療が盛んに行われる様になった。この背景には超高齢化社会を迎えるにあたり、何人かの有名人・政治家が、心房細動に起因する脳血栓塞栓症による重度の麻痺を発症する様を見て、多くの日本人がその健康願望の高まりにより、最期まで自活できる健康な身体と共に老後を送りたいという願望が強く現れている事が背景にあろう。

現在カテーテルアブレーションは、発作性心房細動を中心に施行されており、各術者の経験症例が増加するに付け、徐々に治療成績が良好となり、その長期洞調律維持効果は本邦からの報告においてもかなり良好である。本邦では、広範囲あるいは個別肺静脈隔離術が標準治療として確立された感があり、昨年度の治療症例数は、日本全国で35,000例を超えるまでに増加している。

しかし一方では、持続性心房細動あるいは永続性心房細動に対する広範囲あるいは個別肺静脈隔離術の治療効果は限定的で、未だ満足のいくものでは無いことも多くの報告で示され、今後は長期持続性心房細動に対するカテーテルアブレーション法の確立が急がれている。また、どの程度迄の長期持続性心房細動に対してアブレーションを行うことが妥当であるかも判然としないまま、長期持続性心房細動に対するアブレーションがなされていると考えられる。

そこで今回、持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションの現時点における考え方、洞調律維持治療の意義、新しい考えによるアブレーション法、アブレーションと薬物のハイブリッド治療の可能性、どこまで長期の心房細動にアブレーションを行うべきなのか等、トータルに考えたい。

本パネルディスカッションで、持続性心房細動に対する現時点での日本の標準的な考え方を示すことが出来る様な、意義のある発表を期待したい。

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