この度,2010年開催の第48回日本癌治療学会学術集会の会長に就任させていただきました。本学会の長い歴史を考えますと,重責を感じるとともに大変光栄なことと存じております。
大会のテーマは「癌を治す、癒す」-Cancer Cure and Care- と致しました。「治癒」という言葉は患者さんを治すだけではなく、心身ともに癒してあげたいという心情から生まれた日本人の感性から出た言葉であると思います。患者さんの癌を治し、患者さんを癒すという意味をこめて、本学会の目的である癌の治癒をめざすということで、このテーマにいたしました。来年度の学術集会におきましては、up to dateな 癌の治療成績・研究成果の発表のみならず、患者さんの視点からみたQOLを求める治療は何かを大きなテーマにと考えております。
多様な学術プログラムを通して,現在の癌治療の到達点を見極めるとともに,何が求められているか,それを実現するためには何を行わなければならないか,医師,医療専門職,患者・国民,行政の視点から多面的に検討できる機会にしたいと考えております。
詳細なプログラムの立案はこれからでございますが、癌を「治す」という視点からは、手術、癌薬物療法、放射線療法の3本柱はいうまでもありませんが、分子標的薬の現状と未来への展望に関するシンポジウムや、低侵襲治療に密接に関連する最先端医療を産学協同で手がけておられるエキスパートを集めたワークショップなどを通して、臓器別の観点はいうまでもなく、各領域の横断的な見地から議論をしていただき今後の癌治療のマイルストーンにしていただければと考えております。
「癒す」という観点からは、癌対策基本法をふまえ、緩和医療・在宅医療・患者支援サービスなどを多面的に考える企画を予定しております。癌治療の初期から緩和医療を念頭におく癌治療が求められており、終末期医療においても、「治す」を目的とした治療医から緩和治療を専門とする医療スタッフへの円滑な治療方針の転換、在宅医療への移行などで、患者サイドから見れば、いまだ解決されるべき問題多いと考えます。さらに在宅医療においては、心の癒しなどきめ細かく配慮していくために、在宅医制度に関する具体的な指針も、学会が取り組まなければならない課題であると思います。
また,日本癌学会や日本臨床腫瘍学会等の国内学会、ならびにASCO・Asian symposiumとの国際シンポジウム,ワークショップの実施に加えて,教育プログラム,機器展示の充実を図り,学会員の皆様の多様なニーズに応え得る実り多い学術集会を目指す所存です。電子ポスターセッションについては,従来の “HyPos”に加えて会員の先生方により利便性を考えた発表様式を新しい企画として呈示したい所存です。
患者さんに対する「良い治療」とは何かをさまざまな視点から議論できるような学術集会を行いたいと存じますので、会員の先生方の多数の演題応募と多くの皆様のご来洛を心よりお待ちしています。
平成21年11月10日
第48回日本癌治療学会学術集会
会長 三木 恒治
