
この度、2011年開催の第49回日本癌治療学会学術集会の会長に就任させていただきました。このような身に余る栄誉をお与えいただきましたこと、学会員の皆様方に心より感謝申し上げます。歴代会長のご業績には到底およばぬこととは存じますが、実りある学術集会とすべく不惜身命を貫く決意でございます。
本学術集会のテーマは「Visionの共有 目標への第一歩」とさせていただきました。がんの制圧は世界共通の悲願であり、本邦においてもがん対策基本法のもと国を挙げてのがん対策が進められております。その理念を実現するには、医療者、受療者とその家族、国民、立法、行政、関連学会のすべてがVisionを共有しつつ、総力を結集して進む必要があります。立場を超え、また国内外を問わず、がんに関わるものが一堂に会し、科学的根拠に基づく建設的な議論のもと、進むべき方向性、各々が果たすべき役割を明らかにする、そうした学術集会にできればと考えております。
そのために、1年をかけ、米国(ASCO)、欧州(ESMO)、アジア(APCC, ACOS, CSCO, KSCOなど)をはじめ国内外の代表的学会とコンタクトをとってまいりました。現在、これら諸学会の全面的・積極的なご協力のもと多くの新しい企画案が固まりつつあります。
たとえば、JSCO Universityと名付けた、がん腫、診療領域を網羅した計14のシンポジウム企画です。ここでは、まず当該領域における本邦の治療ガイドラインをお示しいただき、次いで、米国(ASCO)、欧州(ESMO)、アジア(APCC, ACOS, CSCO, KSCOなど)、そして日本の近々1年間における治療に関わる最大のトピックスをreviewしていただき、がん医療の開発研究の今後の方向性、本邦の果たすべき役割を議論していただく予定です。司会、日本の演者は関連がん専門学会にお願いしており、ASCOからはすでに2010-2011 Scientific Program committeeのtrack leaderを演者としてご推薦いただいております。いわば1セッションのなかにBest of ASCO, Best of ESMO, Best of Asia, Best of Japanを詰め込んだようなもので、世界の治療の最先端、本邦の位置づけを短時間で知ることができる、きわめて密度の濃いシンポジウムになるものと確信しております。
また、第47回の杉山会長から始まり、第48回の三木会長の2回の学術集会を経て、Patient Advocacyの皆様方とともに議論し明らかにされてきた本邦のがん医療の課題に対して、日本癌治療学会が何をなすべきかを具体化する5つの提言シンポジウム(①地域におけるがん医療、②がん医療コーディネーターの養成、③がん患者の自立と経済的支援、④Mega-clinical trial in Pan-Asia: Toward the golden standard therapy in Asia、⑤日本の専門医制度はこのままでよいか)も計画しております。学会の社会貢献・説明責任が求められている今、開かれた学会として、社会に対し、継続して情報を発信していく姿勢は極めて重要なものと考えております。
教育プログラムの充実もかかせない要素となります。本学会は、今まで医師を対象とする教育セミナー(教育委員会)、がん臨床試験協力・参加コ・メディカルのためのセミナー(認定データマネージャー制度委員会)と着実にその範疇を拡げてまいりました。今回はさらに、新たな企画として、がんになる前の知識、すなわち子供の時からがんに対して正確に知っておくことが必要との観点から、初等・中等教育時に学んでおいてほしい“がん”の知識をセミナー形式で教員に伝えるネットセミナー(文部科学省後援)と、受療者及びその家族に対して正確ながん情報を提供するためのプログラムをともに確立していくためのウェブセミナー「皆で決めよう患者教育プログラム」を計画しております。
学会員の皆様の多様なニーズに応え、3日間ともに参加してみたいプログラムで満ち溢れるような充実した学術集会を目指してみたいと大望を抱いております。会員の先生方には、なにとぞよろしくご指導、ご協力賜りますようお願い申し上げます。また、多数の演題応募と多くの皆様のご参加を心よりお待ちしています。
平成22年11月26日
第49回日本癌治療学会学術集会
会 長 西山 正彦

