第18回日本クリニカルパス学会学術集会

会長挨拶

第18回日本クリニカルパス学会学術集会会長 山中 英治

(社会医療法人若弘会 若草第一病院 院長)

第18回日本クリニカルパス学会学術集会を2017年12月1日(金)・2日(土)に大阪国際会議場で開催いたします。

大阪では2回目の開催になりますが、実は16年前の第2回も学会事務局を担当いたしました。正直なところ、クリニカルパスの学会が、こんなに長続きするとは思いもよりませんでした。己が不明を恥じて第18回も頑張ります。

当時はまだ日本への導入期で、とくにパスによる「医療の標準化」に対する反対意見も見受けられましたが、「良いものは普及する」の道理で、今では「パスがあって当然」になりました。

「あって当然」になったので、年を経るごとに学術集会での発表の内容も成熟してきました。パイオニアの楽しみは無くなりましたが、「使いこなし」や工夫を披露する「遣い手」も増えて、認定制度による認定も始まりました。

パスの効果では、マネジメントの視点からは「科学的根拠」に基づく「医療の標準化」による「業務の効率化」や、「安全対策の向上」が注目されがちです。DPCや地域連携パスなどの影響もあって、パスの導入により無駄が省けて在院日数も短縮し、医療経済上のメリットもありました。

しかしながら、医療は工業ではありませんので、効率を求めすぎると患者さんに冷たくなります。あまり情に流されてもいけませんが、惻隠の情を失っては人でなしです。理論ばかりを押し通すと、職員の人間関係もギスギスして軋轢が生じます。まさに智に働けば角が立って、意地を通すと窮屈になります。

パスは本来「思いやり」ツールです。パスが無い時は、患者さんや家族は病院でいつどんなことをされるのかを、事前に知らされませんでした。それでは今後の予定が立ちませんし、心の準備ができずに不安も募ります。パスではイラストなども入って、説明も親切に「優しく」なりました。

パスが無ければ、看護師他の医療職も医師の指示を待つばかりで、しかも医師によって指示がバラバラでした。パスでアウトカムという目標も明示されたことで、みんなで目標に向かう「チーム医療」が実現しました。

それとパス学会に参加して驚いたのは、参加者に女性が多いことでした。パスは看護師が使う機会が多いので当然なのですが、男性ばかりの外科の学会に慣れていたわが身にとっては新鮮でした。学会は概ね専門職だけが集まり、同じ職種としかディスカッションしないので、狭い世界での内輪話になりがちです。専門分野の違う医師や、多職種との出会いと議論で視野と人脈が広がりました。

専門も職種も違う人々が集まって、医療を改善しようと話し合う、しかも臨床系の学会は珍しく、非常に刺激があって「明るく」楽しい学会です。

16年前の大阪はちょうどUSJが開園した年でした。パスの導入期で前年東京で開催された第1回学術集会の3倍以上の参加者という嬉しい誤算のため「学会も良いけど、USJも良いですよ」という挨拶までするに至りましたが、今回は大阪で最も大きな会議場で開催しますので、混雑せず「健やかに」過ごして頂けると存じます。大阪はさほど寒くなく、ちょうどライトアップなどで夜景も美しい時期です。

多数の御参加をお待ちしております。