1903年にEinthovenがヒトから初めて心電図を記録して以来、100年以上も経っているが、21世紀の現在でも心機能検査の中で最も広く施行されているものが心電図であり、その重要性は変わっていない。心電図の波形の理解や不整脈の発生機序は1980年代以降のパッチクランプ法の開発と普及によって著しく進歩した。その一方、遺伝性QT延長症候群や、Brugada症候群、Haïssaguerre 症候群等の新しい疾患概念の細分類等に対して心電図は必ずしも十分な威力を発揮していない。本企画では、イオンチャネルの構造と機能に関する新しい知見を専門の先生方にわかりやすく説明していただき、併せて近年著しい進歩を遂げているコンピュータシミュレーションを用いた心筋細胞活動電位と筋収縮の生体調節機構などの講義をとおして、普段目にしている心電図の背景にある心筋細胞の「興奮と収縮の融合」の理解を目指したい。更に、抗不整脈薬の作用機構や薬剤による催不整脈作用のメカニズムの理解、加えてイオンチャネル病の心電図による解釈の助けになるような考察も進めて行きたい。