第26回 NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会
会長 中原 一郎
(社会保険小倉記念病院脳神経外科部長・脳卒中センター長)

 来る2010年11月18日(木)〜20日(土)の3日間、北九州市小倉北区の西日本総合展示場新館、北九州国際会議場、リーガロイヤルホテル小倉において、第26回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会を開催させていただきます。
 本学会は、1982年に設立された血管内治療法研究会を礎とし、1989年からは日本脳神経血管内手術研究会、1998年には日本脳神経血管内治療学会へと成長し、2007年からはNPO法人として、「広く市民に対して、脳神経血管内治療及び関連する領域の学術研究、広報、調査研究及び資格認定等を行うことで、その進歩及び普及を図り、もって学術文化の発展と国民の福祉に寄与することを目的とする」ことを使命とし、今日に至っています。
 脳神経血管内治療は脳神経外科において、開頭手術、直達手術の困難な脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳脊髄動静脈瘻などに対する次善の策として考案されたものです。1970年代に本邦でもその黎明が告げられた本治療は、1980年代に入ると様々なデバイスや治療法が考案されるようになり、治療を施すことができる疾患が増え、注目を集めるようになりました。1990年代になると、疾患によっては第1選択の治療手段となり得る、脳神経外科のsubspecialtyのひとつに成長し、その一方で安定した治療成績が求められるようになりました。2000年代には、限られた医師による特殊な治療という立場から、薬事承認、保険収載の治療へと動きだし、専門医指導医制度が導入されました。このような本学会の歩みはまさに「脳神経血管内治療学」が確立した道程と言えます。
 今回の学術総会のテーマは、『未来を見据えた治療の探求』と致しました。新しい治療、長期成績が定かでない治療と言われてきた本治療ですが、たとえば脳動脈瘤に対するプラチナコイルを用いた治療がはじめて本邦に導入されてから20年余、保険償還の治療となってからすでに13年が経過しています。頸動脈狭窄症に対する治療についてもPTAの1例目から19年、ステント留置術1例目から10年を過ぎました。これらの治療はすでに国内の多くの施設で行われ、安定した治療成績が得られるようになっています。一方で、折しも、脳動脈瘤治療、頸動脈狭窄症、脳主幹動脈閉塞症や脳動静脈奇形などの多くの領域で、治療成績の向上を期待させる新たなデバイスが本邦に導入されました。本学術総会におきましては、ぜひとも会員の方々の叡智を結集していただき、「脳神経血管内治療学」として確立した本治療の"state of art"をお示しいただくとともに、近未来を見据えた新たな治療の方向性を呈示することができれば幸いに存じます。
 また、本学術総会を開催させていただくにあたり、恩師、滝和郎先生に名誉会長へのご就任をお願い申し上げましたところご快諾いただきました。先生には、1982年、京都大学脳神経外科入局以来、公私にわたり今日まで絶えることなくご指導を賜りました。本学術総会の企画、運営にあたりましては、先生のライフワークである脳神経血管内治療におけるご偉業とご指導を糧に、「学術文化の発展と国民の福祉に寄与する」という本学会の使命を果たすべく微力を尽くして参りたいと存じます。皆様方のご参会を心よりお待ち致しております。

第26回 NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会
会長 中原 一郎
(社会保険小倉記念病院脳神経外科部長・脳卒中センター長)