会長挨拶
第52回日本小児血液学会総会 会長
小島 勢二
Seiji Kojima
名古屋大学大学院医学研究科健康社会医学専攻
発育・加齢医学講座小児科学 / 成長発達医学 教授
このたび、第52回日本小児血液学会総会を2010年12月17日(金)から19日(日)までの3日間、大阪国際会議場で開催するにあたり、一言御挨拶申し上げます。
日本小児血液学会と日本小児がん学会は、過去数年間にわたり両学会の統合を目指して、話合いを続けてきました。 いよいよ両学会は2011年をめどに統合することになり、新たに日本小児血液・がん学会が発足することになりました。
両学会は、これまで同時期開催、同時開催と一体化した学会運営をおこなってまいりましたが、半世紀を数えた日本小児血液学会の名称は今回限りとなります。このような状況を背景に今学会のメインテーマとして、“叡智の結集−過去、現在、そして未来へ”を掲げました。
本学会が発足した、1960年代後半は、急性リンパ性白血病の一部に生存例が出始めた頃で、白血病や重症再生不良性貧血など難治性血液疾患の告知は、死の宣告に等しいものでした。私自身が血液腫瘍専門医の第1歩を踏み出したのは1981年ですが、その当時においても不幸な転帰をとった患児を見送る無念さ、大きな壁に立ち向かう医学の非力さに絶望感を抱いたことをよく記憶しています。しかし、このような状況も長くは続きませんでした。1990年代にはいると、絶対的予後不良と思われた難治性血液腫瘍性疾患が、次々と克服されるのを目撃できたのは、この世界に身を置く者にとって望外の喜びでした。
当時絶対的予後不良とされた急性骨髄性白血病や重症再生不良性貧血も、現在では70%以上の、とくに後者に至っては90%の長期生存が得られるようになっています。とはいっても、私達が対象とするすべての疾患が克服できたわけではありません。まだまだ、現在の治療では歯が立たずに新規治療法の開発が待たれる疾患も存在します。長期生存例の増加とともに成長障害や2次がんといった新たな問題も生じています。 ただどこか、私自身、あるいは同世代の仲間が、楽観的なのは、あるいはよりよい未来を信じることができるのは、この領域の進歩を自らが体験しているからに違いありません。今回の特別企画では、メインテーマにちなみ、わが国を代表する演者に各々の専門分野における半世紀の歩みを語ると同時に、次代を背負う若手医師に今後の課題を伝えていただきたいと考えています。
特別企画を通して、今回の学会の使命である、過去の総括と未来への橋渡しを果たしたいと考えています。