第16回日本再生医療学会総会

会長挨拶

会長

第16回日本再生医療学会総会
会長 出澤 真理
東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野 教授




 第16回日本再生医療学会総会の会長を努めさせていただきます、東北大学の出澤真理と申します。私たちの身体は日々傷つき、修復を繰り返しています。組織が修復する時に活躍するのが、幹細胞や前駆細胞といった、さまざまな細胞に分化することのできる細胞です。再生医療では、こうした幹細胞・前駆細胞に着目し、幹細胞や生体材料を移植して私たちの身体の修復能をより高めたり、あるいは幹細胞を取り出して特定の細胞を作り移植したりといった手法によって、これまでの治療では十分な治療効果を得ることができない病気を治すことが、可能になると考えられています。こうした再生医療は、基礎・臨床医学分野だけで成り立つものではなく、医療と経済・産業・行政とが一体化して初めて成立する領域となります。

 本総会のテーマは「再生医療ルネサンス」としております。ルネサンスが勃興した中世は、様々な文化が花開いた時代でした。また、ルネサンス観は文化にとどまらず、芸術、思想、さらには宗教や政治、そして社会運動にも大きな影響を及ぼしたことは、みなさんご存知のとおりです。現代の再生医療は正にこのルネサンス期にあり、経済・産業・行政が再生医療を後押しし、今まさにその種が実ろうとしています。この実を患者様に届くものとするために私たちがすべきことは、より多くの基礎医学研究者、臨床医学研究者、経済・産業界の方々、行政の方々、そして製薬・機器メーカーの現場の方々が一堂に会して情報交換を行い、それぞれの立場から何をすべきか、何ができるかを考え、そして実行することにあると考えております。

 我が国では、行政の方々のご尽力により、再生医療推進法、再生医療等安全性確保法、医薬品医療機器等法が成立し、再生医療の実現化に向け着実にその歩みを進めています。ご参加いただきました方々それぞれが果たすべき役割を見出せるような、各々に発見と確信をもたらす意義深い総会としたいと考えております。多くの皆様方のご参加を心よりお待ちしております。