第35回日本足の外科学会の開催にあたって

 この度、2010年6月17日、18日の両日に奈良県新公会堂にて「第35回日本足の外科学会・学術集会」を開催させていただきます。奈良県立医科大学整形外科学教室では昭和59年に故増原建二名誉教授が第9回、平成5年に高倉義典名誉教授が第18回、平成13年に北田力同門会幹事長が第26回を開催させていただき、今回が4回目の開催になります。ただ大変残念なことに増原建二名誉教授は本年の4月9日にご逝去されました。ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
 今回のテーマは「足の外科のブレークスルーを目指して」ということにさせていただきました。整形外科の各分野でこれだけ専門性が問われている時代に、「足の外科」は患者数に比してあまりにも専門家が少ない領域であると言えます。しかし、教育研修会に参加されている若手の先生方の熱心さには目を見張るものがあり、「足の外科」を目指す先生方が全国的に増えていく予感がいたします。また学問的にみましても新しい診断や治療のツールが増え、さらに「足の外科」で取り扱う疾患範囲が広がりをみせており、少しのきっかけで飛躍的に進歩する可能性を秘めております。このわが国における足の外科のさらなる発展を感じさせる予感を一気にブレークスルーさせたいと考え、このようなテーマにいたしました。
 特別講演として愛媛大学の山本晴康名誉教授に「日本足の外科学会と歩んだ35年」、大阪医科大学の木下光雄教授に「日本足の外科学会-将来への展望」と題してご講演いただき、本学会のこれまでの歴史を振り返ると同時に、今後にめざすべき方向をお示しいただけるものと考えております。招待講演としてフランスのDiebold先生に外反母趾の合併症のお話をいただきます。
 シンポジウムとして「足の外科への超音波の応用」、「足のスポーツ障害」、「小児足部疾患治療の新しい展開」を取り上げ、専門的なお話しをいただきます。また、パネルディスカッションは「外反母趾併用手術」、「足のバイオメカニクス」、「関節鏡・足の外科への新しい応用」の3つで、それぞれ新しい手法が出てきておりますので、細部までしっかりディスカッションいただければありがたいです。また、主題としては「外反母趾」、「足の外科へのCTを用いた新しい試み」、「新しい時代のリウマチ足の治療」、「扁平足」、「足の変形性関節症」、「足部・足関節周辺骨折に対する最小侵襲手術」を選ばせていただきました。
これまで日本足の外科学会・学術集会では口演での発表だけでしたが、この度は総数220題ものご演題をいただき、どうしても2日間の開催では時間がたらず症例報告を中心にポスターセッションをもうけさせていただきました。症例をより深く吟味するにはポスターの方が適していることが多いと思います。優秀ポスター賞をもうけて閉会式で表彰いたします。
 特別企画として、世界的に著明な韓国足の外科学会の先生方とわが国のその道の第一人者に同一テーマでお話しいただく日韓合同ミニレクチャーを企画いたしました。韓国と日本の足の外科の現状を比較することで、お互いが切磋琢磨できればと思います。国際セッションとして今年開催されましたアジア足の外科学会会長のLow先生や台湾、韓国、フィリピンからの先生方にup to dateなお話しをしていただきます。また、Iowa大学の栃木祐樹先生に企画いただき、論文執筆スキルフォーラムを開催いたします。足の外科の領域は、研究者の数に比して整形外科の他の領域よりも世界のトップジャーナルに採用される率が高いと思います。この機会に是非そのコツをつかんで世界に飛躍して下さい。ハンズオンセミナーとしてビギナーのための足関節鏡講座、スペシャリストを目指す人のための超音波講座、Taylor Spatial Frameのbasicとadvanceのコースも開催いたします。
さらに、スポーツ能力を低下させずに足部のスポーツ障害をどのように治療するかという視点で、スポーツ障害の症例検討を懇親会前に企画いたしました。少しお酒でも飲みながら、足の外科の仲間で本音のディスカッションをしていただければと考えております。懇親会ではいつものように奈良の地酒をふんだんにご用意いたしておりますので、お楽しみいただければと存じます。
 私は卒後2年目から「足の外科」を専行し、25年間の研鑽を積んでまいりました。足の外科に対する思いが強くプログラムをかなり欲張りすぎてしまいました。何かとご不便をおかけするこことは存じますが、その思いに免じてどうぞお許し下さい。皆様方のお力で足の外科が本当に整形外科の中でブレークスルーできるように、会を盛り上げていただけましたなら幸甚に存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 
 また、折しも平城遷都1300年の年にあたり、普段みられないような秘仏も開帳されております。梅雨時ですが、学会の合間にしっとり落ち着いた古都奈良をお楽しみいただければと存じます。

会長
第35回日本足の外科学会・学術集会
会長
  田中康仁
(奈良県立医科大学整形外科学教室 教授)