第83回 日本循環器学会学術集会

プレナリーセッション
重症急性心筋梗塞の包括的管理

英 語

国内座長:高山 守正(榊原記念病院 循環器内科)

心血管集中治療を要する緊急心血管疾患の中で我が国にでも急性冠症候群が最多であり、発症予防から緊急心血管集中治療、リハビリテーション、再発防止と系統的な多領域からの対策を要する。致死率の高い急性心筋梗塞(AMI)は各重症度に分類しても急性期死亡の減少が示され、その要因に緊急カテーテル治療(PCI)の果たす意義が極めて大きい事は欧米、国内の報告に多数示されている。しかしKillp4群の治療成績は改善しているとは言え未だに30-40%の急性期死亡率であり、AMI死亡例の半数を超える。かかる重症急性循環不全への対応は消防救急・救命部門と密に連携した病院前からの効率的初期治療が第1の鍵であり、これが発症2時間以内の緊急PCI実施を可能とさせる。左主幹部(LMT)閉塞を成因としたAMIは、ショックと心停止を大多数が来たし、可及的早期の再灌流と順行性の冠循環の回復が第2の鍵である。しかしLMTショックは超早期に血行再建したとしても左室回復は困難であり、補助循環を駆使して破綻した血行動態を支えるものの、良好な結果を約束できる方策は未だ不明である。左室収縮性の回復による自立した血行動態への回復が本症の第3の鍵となる。かかる命題に対し、H29末に使用開始となったIMPELLA®は特に第3の鍵を開く理論に裏付けられた補助循環であり大きな期待が寄せられ、臨床科学による証左確立が課題である。重症心筋梗塞治療の、3つの鍵を効率的に確実に開けて、未来を約束できる緊急心血管診療の進む道を示したい。現場の臨床家の努力の声を集めたい。

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