第83回 日本循環器学会学術集会

プレナリーセッション
心筋症治療に対するTranslational Approach

英 語

国内座長:北風 政史(国立循環器病研究センター 臨床研究部)

心筋症は、多くの循環器疾患の中でも難病指定をうけている数少ない疾患の一つである。心筋症はその治療がきわめて困難であること、我が国において心臓移植を受ける方の大半は心筋症であることから、その有効な治療法確立は、医学的にも社会的にも我々循環器医師に課せられた急務である。実際、厚生労働省・文部科学省はここ数十年間多くの研究費をこの分野の研究に投入しており、その結果、多くの基礎研究・臨床研究の重要な成果が上がっている。基礎研究においては、心筋症の分子生物学的研究、ゲノム研究、遺伝子研究などから、原因となる遺伝子・蛋白の異常やサルコメア・受容体・チャネル異常が同定されつつあり、一方、臨床研究においても、その臨床的特徴が心エコー、MRI、各種な特殊検査により詳細に記述され、効果が期待できる薬剤の候補も上がっている。しかしながら、心筋症の現行の治療法は、ここ十数年間、心不全治療薬であるβ遮断薬やRAS/アルドステロン阻害薬などに限定され、残念ながら心筋症自体を治療する新しいブレイクスルーはないのが現状である。これは、基礎研究と臨床研究を連結するTranslational Researchが十分になされていないことが大きな原因であると考えられる。我々は心筋症iPS細胞、心筋症動物実験モデル、さらに新しい実験システム、心筋症治療創薬へのアプローチ、数学的手法などを共有うることにより、心筋症治療に対するTranslational Approachを実践する必要がある。本プレナリーセッションでは、 基礎研究を如何に心筋症治療のTranslational Approach に結びつけるか、その方法論の具体的実践方法について議論したい。また、Reverse Translational Approachとして、臨床研究の成果から如何なる基礎研究が必要なのかもご提案いただきたい。心筋症の出口研究は待ったなしである。会員諸氏の積極的な参加を心より希望する。

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