第83回 日本循環器学会学術集会

シンポジウム
心筋生検から見た炎症と免疫

英 語

国内座長:坂田 泰史(大阪大学 循環器内科学)

心機能低下に対して、一次的または他の心筋傷害に対する二次的反応として、心筋に炎症所見を認めることがある。特に重症心不全では多くの症例で心筋に対する自己抗体が存在すると言われ、心臓における炎症は病態生理として重要な概念となってきた。
心筋の炎症所見は、心筋生検により採取された組織標本より観察されてきた。心筋炎の診断にはダラス基準が用いられているが、その感度が低いことより、心筋サンプルの採取場所、免疫組織染色、分子マーカー、PCRによるウイルスゲノムの同定、さらに新しいイメージングを利用したターゲットバイオプシーなどの工夫がなされている。
病因としては、ウイルスなど微生物感染、薬剤・自己免疫など感染症以外が考えられ、心筋細胞死、サイトカイン放出、免疫システムの活性化を介し心筋の炎症をきたす。多くは急性心筋炎となり治癒するが一部慢性化しさらに心拡大、心機能低下が持続する。さらに、急性心筋炎という表現型をとらず、いわゆる拡張型心筋症と診断されているものの中にも、心筋生検や剖検にて炎症細胞の集簇や浸潤があり、近接する心筋細胞の融解消失や壊死など慢性心筋炎の病理的特徴を持った心筋の炎症が認められるものがある。これらの病態がどのような背景によりもたらされるかは明らかではない。炎症や免疫の関与のみならず、遺伝的背景も検討が必要と考えられる。
本シンポジウムでは、炎症性心筋症について「心筋生検から見た」つまり、ヒトの情報をどう活かすかを中心とした議論を広く展開していきたい。

閉じる

↑ pagetop

© 2018- 第83回 日本循環器学会学術集会. All Rights Reserved.