第83回 日本循環器学会学術集会

シンポジウム
肺高血圧症~データベースからみえてくる新知見~

英 語

国内座長:下川 宏明(東北大学 循環器内科学)

最近の20年間で肺高血圧(PH)の治療は近年目覚ましく進歩してきた。肺動脈性肺高血圧症(PAH)では、upfront therapyによる多剤併用療法やPGI2持続静注により肺動脈圧が低下し,生命予後の改善が得られるようになった。慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)では、従来の血栓内膜摘除術に加え、バルーン肺動脈形成術(BPA)が施行されるようになり、中枢型のみならず、末梢型CTEPHの予後も改善している。このような状況で、FRENCH registry、REVEAL registry、Japan PH registryなど、肺高血圧症に関するレジストリー研究に基づく研究成果が各国より発表されている。一方で、多剤併用療法の有用性や3群PHの治療法・予後、成人先天性心疾患のPH、膠原病に関連したPHへの免疫抑制療法の有用性、BPAの治療効果の国際比較など、未だにエビデンスが不足した分野も数多くある。わが国では、日本肺高血圧・肺循環学会が主導し、PHの各群でレジストリー研究が開始されており、今後の検討が待たれるところである。さらに、近年、情報通信技術(ICT)の進歩により、「ビックデータ」と呼ばれる、診療情報・DPC情報・疫学情報やナショナルデータを含むデジタルデータの活用等が可能となり、「ビックデータ」を用いた臨床研究に大きな期待が寄せられている。本シンポジウムでは、肺高血圧症の臨床研究における「レジストリー」あるいは「ビックデータ」の現状と将来への展望を議論したい。

閉じる

↑ pagetop

© 2018- 第83回 日本循環器学会学術集会. All Rights Reserved.