第83回 日本循環器学会学術集会

シンポジウム
細胞・臓器間連関不全による心血管系老化の制御機構

英 語

国内座長:南野 徹(新潟大学 循環器学分野)

加齢に伴う病的な老化形質は、細胞間や臓器間の密接なコミュニケーションによる恒常性維持機構の破綻によってもたらされる。例えば、加齢に伴う老化細胞の蓄積は、組織の再生能力の低下をもたらすだけでなく、Senescence-associated secretary phenotypeと呼ばれる形質を獲得することで、周囲の細胞へ老化形質を伝搬し、さらなる臓器老化を進展させる。このようにしてもたらされたある臓器の病的老化形質は、神経・液性因子を介して免疫系や代謝系の異常反応を惹起することで、心血管系をはじめとした全身の恒常性維持機構の機能不全をもたらす。心血管系の恒常性の破綻は、様々な組織の機能不全をもたらすことで、さらなる全身性の老化形質・疾患の発現や進展に関与する。このような恒常性維持機構に重要な細胞・臓器間コミュニケーションを結ぶ因子や、それらによる制御メカニズムの全貌は明らかではない。また、加齢という時間軸がどのようにしてその恒常性維持機構の代償機転を破綻へと導いているのかについても明らかとなっていない。一方、蓄積した老化細胞を除去することで、これらの病的老化形質を可逆的に制御しうることが示されている。そこで本シンポジウムでは、加齢によってもたらされる細胞・臓器間連関不全による心血管系老化制御機構について、新たな洞察を提供する発表を広く公募し、次世代の老化研究の展望を議論する機会としたい。

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