第51回日本薬剤師会学術大会 金沢

大会運営委員長挨拶

第51回日本薬剤師会学術大会 大会運営委員長 中森慶滋
(公益社団法人 石川県薬剤師会 会長)

Rejoice!
金沢で51回日本薬剤師会の学術大会が開催される。

 50回の東京大会を一つの節目とするならば、51回大会は薬剤師の将来を展望し、新たなるディメンションへと踏み出す大会を目指し、日本薬剤師会学術大会金沢制作委員会は企画を練ってきた。まずテーマを「人として、薬剤師として。」とした。それに我々が本来備わっている薬剤師としての人間性を恢復するとともに、社会が期待する薬剤師像に応えようと託したからだ。これを中心的なフォルムとし、彩りをあたえるものとして4つの人間の本質的な苦しみである「生」「老」「病」「死」のカテゴリーに、分科会、口頭発表、ポスターセッションをあてはめた。

 現実は思い通りにならないから、ドラマが生まれる。人は幸福や成功から多くのことを学ぶだろう、しかし苦しみからそれ以上のことを学ぶ。戦争や災害に我々は貴重な多くのことを教えられた。そう考えれば理解しやすいかもしれない。

  「メメント・モリ(死を思え)」というラテン語がある。ハイデッガーは生きることに気づくために死を自覚せよと言った。それは人間精神の本質に立ち返らせる力を持っていることを彼は言いたかったのだろう。生、老、病、死の苦しみが我々に絶えずふりかかるから人生は豊かなのだ。

 自己を対象とした認識作用である自我とは、思い通りにならない現実からの解放をもたらし痛みを緩和する必要性から、現実を調整するための機能として心の中に構築されるものだ。自我があるから苦しみに立ち向かうことができる。だから苦しみを肯定しよう。この苦しみを乗り越えた時、我々は喜びに満ち溢れる。避けることができないこの世での人間の4つの苦悩、「生きる苦しみ」、「老いる苦しみ」、「病む苦しみ」、「死の苦しみ」。

 大江健三郎氏は障害を持って生まれた長男との共生、そして人間精神の再生と成長をテーマとした数々の小説を書いた。その中のひとつ「大いなる日に 燃えあがる緑の木 第三部」は次の言葉で終わっている。

Rejoice! (歓喜よ!)