第66回日本透析医学会学術集会・総会

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会長挨拶

第66回日本透析医学会学術集会・総会を迎えるにあたり

岡田 一義
第66回日本透析医学会学術集会・総会
会長 岡田 一義
(社会医療法人 川島会 川島病院 副院長)

第66回日本透析医学会学術集会・総会を2021年6月4日~6月6日にかけてパシフィコ横浜において開催いたします。本学術集会には約2万人の透析療法にかかわる医療関係者が参加し、真剣で熱心な議論が交わされるとともに、透析療法についての知識を向上できる貴重な場となっております。この重要な学術集会を主催させていただくことは、身に余る光栄であり、その責任の重大性も感じております。

2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に大流行し、コロナ禍にもかかわらず特別講演・招待講演・会長特別企画・教育講演・シンポジウム・ワークショップ・コメディカル透析セミナーの演者・司会、一般演題の座長、一般演題の査読委員をご快諾いただいた先生方、ならびに一般演題に応募いただいた先生方に心より感謝申し上げます。

2回目の緊急事態宣言が解除されましたが、感染力の強い複数の変異型株により、感染者数が下げ止まり、増加している地域もあり、十分な感染対策を講じた運営をいたします。主要プログラムは、LIVE配信を併用するハイブリッド形式とし、会場に来られなくても全国どこからでも視聴できます。なお、学術集会終了後のオンデマンド配信はございませんので、期間中の視聴をお願いいたします。

医療従事者へのワクチン接種は、2021年2月から始まり、5月に2回目接種分が供給される見込みであり、予想を上回る方が会場に来られる状況も想定されます。一般演題をすべてポスターとし、空いた会場に主要プログラムを同時配信いたします。収容人数の制限がありますので、国立大ホールをすべての主要プログラム視聴専用会場といたしますので、現地参加の方はデバイス(パソコン、携帯等)とイヤホンの持参をお願いいたします。

今日まで透析医療の発展に寄与された先輩各位に心から敬意を表します。日本透析医学会の発展とともに透析技術は世界最高水準まで進歩し、透析患者の健康寿命を延ばすために低栄養、心血管病、感染症、悪性腫瘍への対策が重要となっています。また、わが国は世界に類をみない超高齢社会を迎えようとしており、高齢化による諸問題への対策を世界に向けて発信する役目を担っております。

本学術集会・総会のテーマを「チームの俯瞰・発想・行動力~良質な医療とケアの発信~」としました。透析チームが力を結集して、良質な医療とケアを提供するために、地球規模の広い視野で、客観的な視点で現状を見渡して新しい課題を考え、豊かな発想力でその課題を克服するための研究を行い、その成果を世界に向けて発信することを目指します。

私は、2001年の本学術集会シンポジウムで、終末期患者の意思を尊重し、家族等と医療チームも合意して延命治療を見合わせ、最期のときまで緩和ケアを継続して生を全うすれば自然死または病死になる「尊厳生(そんげんい)」の概念を公表しました。この概念を知った多くの医療従事者から終末期ケアを提供しやすくなったと聞いています。また、透析の不開始と継続中止に関して、いくつかの用語が使用されていましたが、2011年に「透析の見合わせ」の用語が適切と指摘し、以後、定着した用語になっています。

近年、世界から発信された「advance care planning」、「shared decision making」、「conservative kidney management」の用語は、わが国の医療とケアに大きな影響をもたらしています。患者の意思を尊重した延命治療の見合わせに関する医療チーム免責について、法律が規定されていないわが国において、日本透析医学会が公表した「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスに関する提言」を二次出版し、世界に向けて情報を発信したいと思います。

学術集会が、透析医療・看護・介護に関わる多くの方々の貴重な議論の機会となるように、プログラム委員とプログラム企画委員のご協力により魅力的なプログラムを企画しました。特に、COVID-19対策については、Centers for Disease Control and PreventionおよびUnited States Renal Data Systemによる初めての国際講演を含め多くのプログラムがあります。また、コミュニケーションの実践につながる会長講演を聴いていただき、患者・家族等およびチームメンバーと良好な関係を構築し、明日からの良質な医療とケアの提供に役立つことになれば望外の喜びです。多くの皆様のご参加・ご視聴を期待しております。皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。

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