このたび、平成29年11月17日(金)、18日(土)の2日間、熊本市のホテルメルパルク熊本にて、第28回日本消化器癌発生学会、第9回国際消化器発癌会議を開催させていただくこととなりました。歴史と伝統ある本会を熊本で開催できますことは、大変光栄なことと存じ、現在開催に向け教室員一同鋭意準備を進めております。

今回のテーマは、国際学会との同時開催のため、『Look into the future in cancer research』とさせていただきました。外科、内科、病理、基礎という幅広い領域の研究者が一同に会し、最先端の研究成果について活発な議論を行って頂きたいと考えております。そして、これまでの研究を通じて見えてきた課題を捉え、消化器癌研究の "未来に向けた発展" に繋がる、実り多い学会になることを心より期待しております。また、今回は国際消化器発癌会議と同時開催であるため、海外からも多くの高名な研究者を講師として招聘したいと考えております。本会が海外研究者と本学会員の交流の場となり、更なる国際共同研究の推進に発展するよう準備を進めて参りたいと考えております。

ご存じのとおり、熊本は、平成28年4月14日にマグニチュード6.5の前震、4月16日にマグニチュード7.3の本震に襲われました。この地震により、約50名の尊い命が失われ、家屋の倒壊やライフラインの喪失により、最大で18万人超の方が避難所での生活を余儀なくされました。とくに熊本県民の心の拠り所である熊本城や観光名所でもある阿蘇地域への甚大な被害は、これまで先人達が積み上げてきた輝かしい歴史と伝統に対する喪失感だけでなく、未来に対する暗澹たる思いを私達に抱かせました。教室では幸いに人的被害はありませんでしたが、研究施設の被害が著しく、一時的に臨床、教育、研究が大幅に停滞することになりました。しかし、全国の皆様方から寄せられた心温まる励ましのお言葉、物的人的ご支援により、日々復興に向けて歩みを始めることができました。この場を借りて皆様のご厚情に心より感謝申し上げます。

現在、熊本市は復興の途上にあり、熊本城には立ち入ることができませんが、垣間見える石垣は、在りし日の雄大さを伝えるだけではなく、創造的復興を目指す私達に力を与えてくれています。風雪に耐え、また花開く日を目指し歩みを続ける、今の熊本の現状見て頂き、今後もお力添えいただけたらなりよりでございます。幸いに熊本の街の賑わいは、以前に勝る活気を取り戻しつつあります。また、11月の熊本は空気が澄み、紅葉が目に鮮やかな清々しい季節です。馬刺し、熊本ラーメン、天草の海の幸、阿蘇の山の恵みが皆様をお待ちしていますので、学会の合間に心ゆくまで熊本をお楽しみいただきますことを心より願っております。

万端の準備を整え、記憶に残る学会になることを願いながら、皆様のご来熊を心よりお待ち申し上げております。

第28回日本消化器癌発生学会総会
第9回国際消化器癌発生会議
会長 馬場 秀夫
熊本大学大学院生命科学研究部 消化器外科学教授