会長挨拶

第78回日本血液学会学術集会
会 長 三谷 絹子
獨協医科大学 内科学(血液・腫瘍)

 第78回日本血液学会学術集会会長を拝命致しました獨協医科大学の三谷絹子です。総会78年の歴史の中で初の女性会長となり、大変光栄に存じます。

 第78回学術集会は、平成28年10月13日(木)〜15日(土)を会期とし、パシフィコ横浜で開催されます。日本血液学会学術集会は通常金曜日〜日曜日の日程で開催されますが、今回は日曜日の会議場が確保出来ず、1日前倒しの木曜日〜土曜日の日程となりました。そうまでして横浜での開催にこだわりましたのは、横浜が太平洋を望む美しい港街であり、世界に開かれた街だからです。日本血液学会はこの7~8年の間、「国際化」を目標に掲げています。横浜こそ「国際化」のシンボルにふさわしい街です。学会員の先生方には、木曜日開始の日程のため、少々ご不自由をおかけしますが、是非横浜の地まで足をお運び頂き、血液学を学び、議論して頂けましたら幸いです。

 学会のテーマは、”Contribution of everyone in hematology”とさせて頂きました。私が本郷から現在の勤務地である獨協医科大学に移動してから、早くも15年が経ちました。私自身の指導力が足りず、一流の研究者を育てるには至りませんでしたが、医局員一同誇りを持って、臨床研究を立案し、地域の血液診療を支えてくれています。血液学・血液疾患の診断と治療が、基礎研究者、大学病院の医師、地域医療を担う医師等、あらゆる血液学者の貢献でさらに発展していくことを願いつつ、このテーマに決めました。

 すでに来年の総会に向けて準備が始まっており、3つの特別講演、12のシンポジウムが決まっています。会長企画と致しましては、特別講演にハーバード大学のPandolfi先生をお迎えし、会長シンポジウムでは“Dysregulation of RNA in hematological malignancies”を取り上げます。これらの企画は私のつたない会長講演“Leukemogenesis by RUNX1-EVI1 and afterward stories”とともに、初日の午後にスケジュールしております。これらは、基礎研究への私自身のオマージュでもあります。昨今は若い血液内科医の中で、基礎研究を志す方が少なくなっているように思います。是非世界の第一戦で活躍中の基礎研究者のお話を聞きに、初日よりお越し下さい。例年通りに、ASH及びEHAの会長講演も予定しております。また、シンポジウムの中では、リンパ腫領域がASHとの合同シンポジウムに、AML領域がEHAとの合同シンポジウムに決定しており、いずれもASH及びEHAよりご推薦頂いた、著名な先生のご来日が決まっております。来年はWHO分類の改訂の年に当たっており、ホットな議論になることが期待されます。Asian joint programには、中国、台湾、タイ、韓国、インド及びシンガポールより演者をお招きします。アジア各国とご相談の上、来年は「ITPと凝固異常」を取り上げて議論をして頂くことになっています。さらに、今回初の試みとして、女性医師・研究者のシンポジウムを開催します。血液学会でご活躍の女性医師・研究者に、ご自分のこれまでのご業績や後輩へのメッセージを伺いたいと考えています。女性の問題は、女性だけの問題ではありません。男性医師にも多数ご参加頂き、問題点を共有し、「女性が輝ける」研究・診療の場、そして、学会にしたいと思います。

 教育講演が多くの会員にとって、最も重要な企画であることは申すまでもありません。本集会におきましても、教育講演は3列(最終日の午後のみ2列)64枠を予定しています。頻度の多い重要な疾患に関しましては、2本立ての構成で行うことも考えています。初学者向けの基本的知識から最近の進歩を紹介するものまで、多彩な企画を予定しておりますので、楽しみにご参加下さい。ニーズの高い教育講演は、中継・再演を予定しております。

 一般演題に関しましては、例年通りにCOIの申告をして頂くとともに、演題投稿時に当該研究の倫理審査の有無をお伺いすることになりました。本年の4月から「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が施行されていますが、学会としてもこれを遵守する必要があるためです。演題投稿後の倫理審査も可としましたが、事前にご準備を頂けましたら幸いです。何と申しましても、学会発表という経験を経て、若手は育っていきます。若手が成長できる発表の場にしたいと思います。

 ASHのご協力によるSETP(scientific exchange training program)及びMeet the expertも例年通りに企画する予定です。若手の先生方は奮ってご応募下さい。

 日本血液学会学術集会は年に1回の会員の大事な交流の場でもあります。開会式にも多数の方にお越し頂けますように、初日の午後に楽しい式を企画しています。また、年々増加している参加者数に対応するために、懇親会会場も広目のお部屋を準備しております。少しだけ学会会場から離れますが、多数のご参加をお待ちしています。欧米の一流研究者、100名を超えるアジアの先生方とも積極的に交流して頂き、横浜から若い研究者・医師が羽ばたいていかれることを祈願しております。


平成27年10月吉日

第78回日本血液学会学術集会
会長 三谷 絹子