

会長挨拶
第115回日本病理学会総会
会長田中 伸哉
北海道大学大学院
医学研究院腫瘍病理学教室・
北海道大学病院病理診断科 教授

皆様方におかれましては、ご健勝のこととお慶び申し上げます。
この度、第115回日本病理学会総会を、2026年の4月16日(木)から18日(土)まで札幌のグランドメルキュール札幌大通公園と札幌市教育文化会館にて開催させていただきます。テーマは「Pathologists be ambitious! 病理医よ大志を抱け」です。北海道大学の前身の札幌農学校は1876年に開校しました。その初代教頭ウィリアム・S・クラーク博士は第1期生に高邁な大志(lofty ambition)を説きました。実験病理、臨床病理ともに、次世代技術の導入、分子遺伝学に基づく診断の複雑化が急速に進む現在、つい目の前の仕事をこなすだけになっていると我に返ることがあります。この総会では、若手、ベテラン問わず、最前線の研究・診断について議論しながら、病理学を俯瞰し、原点に戻って、病理学研究の醍醐味、病理診断の楽しさを再発見できるようなシンポジウム、ワークショップ、様々な企画を準備します。AI、ゲノム、イメージング、シングルセル、空間トランスクリプトーム、バイオインフォマティクスなどの次世代技術の病理学への展開、ドライバー変異に対応するコンパニオン診断、分子標的治療の発展とともに変化する病理診断のニーズ、希少癌の病理診断、治療薬に対応した非腫瘍性疾患の新たな病理の知見、WHO分類と規約の在り方などがキーワードになるでしょう。ITC技術の発達とともに進歩する遠隔診断の実装や病理開業の未来像なども重要です。本総会が、若手を含めて病理学に携わる全ての研究者・診断医が新たな志を抱く契機となることを祈念します。
北の大地でお会いしましょう。
2025年春



