ご挨拶

第31回日本看護管理学会学術集会

学術集会長  村田 由香

(日本赤十字広島看護大学 副学長)

村田 由香

テーマ:「看護管理のリ・デザイン」

本学会は、初めて広島で開催されます。広島は、原爆の惨禍によって「75年は草木も生えない」と言われた焼け野原から、市民の力と不屈の精神で立ち上がり、平和都市として目覚ましい復興を遂げた地です。すべてを失った状態から、未来を信じて新たな街を「リ・デザイン(再設計)」してきた広島の歩みは、現在の医療・看護現場が直面する未曾有の危機を乗り越えるための、大きな示唆を与えてくれます。

広島には、医療の原点とも言える歴史があります。あの凄惨を極めた被爆直後、自らも傷つきながら、赤十字をはじめとする看護師や医師たちは、命を救うためにいち早く立ち上がりました。医薬品も設備も遮る天井すらもない極限状態の中で、ただ目の前の命を救いたいという一念で行われた不眠不休の救護活動。その尊い実践と不屈の使命感こそが、戦後の医療復興の礎となり、現代の私たちへと脈々と受け継がれる看護のバトンとなっています。

近年、私たち看護職はかつてないほどの激動の中にいます。未知の脅威であった新型感染症パンデミックにおいて、看護組織は最前線で命を守り抜く強靭さを示しました。同時に、医療の高度化に伴うチーム医療の推進や、働き方改革による新たな雇用体制への対応など、現場は常に変化と進化を求められ続けています。また、日本経済の停滞、そして超高齢化と少子化がもたらす深刻な働き手不足は、これまでの人員配置やマネジメント手法の限界を露呈させています。高い確率で起こるとされる南海トラフ巨大地震などの自然災害や、地球規模の環境変化、人道危機への備えも急がれる中、私たちはこの混沌とした状況下で、組織をいかに維持し、機能させるかという重い課題を突きつけられています。

このような時代において、過去の成功体験や従来のシステムの延長線上で「改善」を繰り返すだけでは、もはや医療現場を支え切ることはできません。今こそ必要なのは、看護管理そのものを根本から見つめ直し、新たな発想で再設計する「リ・デザイン」です。

本学会では、限られた人的資源・経済状況の中であっても、看護の質を担保し、人間が人間をケアする尊さを守りながら、職員がいきいきと働き続けられる看護の場をいかに再設計(リ・デザイン)していくのかを中核の問いとします。

被爆地の惨禍から立ち上がった先人たちの「命を救う意思」に想いを馳せ、変わるべき未来への挑戦と、決して変わらない看護の本質を、ここ広島の地で皆さまと共に深く議論し、次世代へとつなぐ契機としたいと願っております。多くの皆さまのご参加を、心よりお待ち申し上げております。

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