第49回JCOA研修会 in北海道

講演会

教育研修講演 講師ご紹介

野球肘の予防と治療戦略
—肘離断性骨軟骨炎を中心に—

北海道大学大学院医学研究院整形外科学教室

岩崎 倫政

岩崎倫政
講演の内容

近年、若年者を中心とした野球選手の肘障害が社会的関心事になっている。そのなかでも小中学生に好発する離断性骨軟骨炎(OCD)は診療する機会が多く、主たる治療ターゲットが自然修復能に乏しい軟骨組織であり、治療に難渋するケースが多い。演者らは、肘OCDの制圧を目指し、検診を中心とした予防ならびに新規治療の開発に取り組んできた。本講演では、肘OCDに対する予防ならびに治療法の現状と課題について述べ、それらの課題解決に向けた研究成果に関して言及する。具体的講演内容は、1)野球肘予防の現状:当教室で行ってきた肘検診の成果と課題、2)手術治療の現状:不安定型OCD病変に対して広く行われている骨軟骨柱移植術(mosaicplasty)の術後成績および本術式を中心とした治療戦略、3)手術治療の課題と将来展望:現行の手術治療の課題を提示し、その解決に向けて、演者らが開発してきたバイオマテリアル研究を基盤とした細胞を用いない低侵襲軟骨再生治療法の開発と臨床応用の可能性、である。

講演者略歴
専門分野 :
上肢関節外科、スポーツ整形外科、軟骨再生、軟骨代謝、バイオマテリアル、バイオメカニクス
主な職歴 :
1988年06月
北海道大学医学部附属病院整形外科(研修医)
1994年04月
米国Johns Hopkins大学整形外科留学(Biomechanics Lab. ポスドク)
2000年01月
北海道大学大学院医学研究科運動器再建医学分野助手
2004年02月
北海道大学病院整形外科講師
2008年04月
北海道大学病院診療准教授を兼任
2010年04月
北海道大学大学院医学研究科機能再生医学講座整形外科学分野准教授
2012年10月
北海道大学大学院医学研究科機能再生医学講座整形外科学分野教授
2016年06月
北海道大学国際連携研究教育局ソフトマターグローバルステーション教授(整形外科学分野教授とのダブルアポイントメント)
学会等役職:
(国内)日本手外科学会理事長、日本肘関節学会副理事長、日本整形外科スポーツ医学会理事、日本バイオマテリアル学会理事、日本関節病学会理事、日本末梢神経学会理事、東日本整形災害外科学会理事、北海道整形災害外科学会理事、日本整形外科学会代議員、日本軟骨代謝学会評議員、等
(国外)米国手外科学会国際会員、米国整形外科基礎学会会員、International Cartilage Repair Society会員

文化講演 講師ご紹介①

アイヌの歴史と文化の正しい理解を
促進するために
—国立アイヌ民族博物館の役割—

国立アイヌ民族博物館館長

佐々木 史郎

佐々木 史郎
講演の内容

2020年7月に開館した国立アイヌ民族博物館は、アイヌ文化の復興拠点となるべく設立された国立博物館です。この博物館は「先住民族であるアイヌの尊厳を尊重し、国内外にアイヌの歴史・文化等に関する正しい認識と理解を促進するとともに、新たなアイヌ文化の創造及び発展に寄与する」という理念を掲げて、展示、調査研究、教育普及、人材育成、資料の収集・保存・整理、そして博物館ネットワークの構築といった業務を行っています。また、当館は北海道白老町に整備された民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設の1つとして、我が国の貴重な文化でありながら存立の危機にあるアイヌ文化の復興と普及啓発に寄与することも求められています。そのために開館以来足かけ4年にわたって、アイヌ文化全体を幅広く伝える基本展示、期間限定でテーマを絞って実施する特別展示やテーマ展示など多彩な展示と、それに伴うワークショップやギャラリートークなどのイベントを実施して、アイヌ文化の中核や魅力を伝えてきました。今回の講演ではこれまで実施した展示やイベントを紹介しながら、当館の使命と展示の見どころについてお話ししたいと思います。

講演者略歴

東京都生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。学術博士。国立民族学博物館助手、大阪大学助教授、国立民族学博物館教授、東京国立博物館付部長(国立アイヌ民族博物館設立準備室主幹)などを経て、2020年4月より国立アイヌ民族博物館館長。専門は文化人類学。1984年以来北欧、中国内モンゴル自治区、ロシア極東地域、シベリア等で先住民族の狩猟漁撈文化とトナカイ飼育文化の調査・研究を行う。また、アイヌとロシア極東の先住民族との交流・交易史の研究にも従事。

文化講演 講師ご紹介②

夢は、努力でかなえる。

(逆境こそ天が自分に与えた最大のチャンス)

株式会社土屋ホーム スキー部 選手兼監督
スキージャンプ選手

葛西紀明

葛西紀明
講演の内容

貧しかった少年時代、両親に反対されながらも周囲の支援で始めることが出来たスキージャンプ。少年時代の輝かしい記憶やワールドカップ・オリンピックでの数々のエピソードをお話しします。8度のオリンピックに出場する間、妹の難病や母の早過ぎる死、所属先の2度の廃部など多くの逆境に遭遇するが、不屈の精神と努力で乗り越えてきた。3つ目の所属先となる土屋ホームで「ものの見方考え方を変えると人生が変わる」「逆境こそ天が自分に与えた最大のチャンス」などの言葉に出会い開眼。フィンランド人のコーチに師事するなど新たな取り組みでメダルを掴んだ。これまで挫折したことはあったが、やめたいと思ったことは一度もない。22年かけて獲得した銀メダルに満足することとなく、50歳となった今も金メダルという夢を目指しつづける。

講演者略歴

1972年6月6日北海道下川町生まれ
東海大学付属第四高等学校(現東海大学付属札幌高等学校)卒業後、地崎工業、マイカルを経て2001年11月土屋ホーム入社
「ワールドカップ最年長優勝」「冬季五輪連続最多出場」「冬季五輪スキージャンプ最年長メダリスト」「ワールドカップ最多出場」「ノルディックスキー世界選手権最多出場」の五つがギネス世界記録に認定。

獲得メダル:オリンピック3個=個人銀メダル1、団体銀メダル1、団体銅メダル1
ノルディックスキー世界選手権5個=個人銅メダル2、団体銀メダル1団体銅メダル2
身長:176cm 体重:59.5kg 血液型:AB型
趣味:ゴルフ、ワイン
座右の銘「自分の夢は、努力でかなえる」

書籍:「40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方」(東洋経済新報社)
「夢は、努力でかなえる。」(実業之日本社)、「家族で獲った銀メダル」(光文社)

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