COVID-19感染症の流行により遠隔医療の需要は高まっているが、現行のオンライン診療では十分な診察が行えず、“医療の質”の低下が懸念される。また、長崎県は離島・へき地が多いため、専門医療機関へアクセスすることが困難な患者が多い。そこで我々は、関節リウマチ(RA)患者を対象に最新技術のMixed Reality(複合現実)による関節診察を軸とした次世代遠隔医療システム(NURAS、Nagasaki University Rheumatoid Arthritis remote medical System)を開発し、長崎大学病院と五島中央病院で実証実験を開始した。本システムでは、人工知能(AI)の実装およびオンライン会議システム、患者報告アウトカムシステム(ePROs)との連携により診療をサポートする。今後、本システムのバージョンアップを進めるとともに、他疾患の診療への応用と専門医過疎地域への普及を目指す。本シンポジウムでは、現行のオンライン診療の問題点を踏まえて、専門医過疎の解決を目指した次世代の遠隔医療のあり方を考察する。
2021年、Science誌のBreakthrough of the Year にはAlphaFold2によるタンパク構造予測が選ばれ、NHKの朝のニュースはAIが読み上げるようになり、私のGoogleニュースの動物カテゴリは猫で埋め尽くされるようになった。
AIに触れない日のない世界にあって、関節レントゲンを読むAIはいまだ我々の日常にはでてこない。
以前から研究はなされており、2020年にようやく基盤となるAIがでた。しかしその後の進展はなかった。この原因はいくつかある。私が読影AIを構想しはじめるより前に、一部の原因がすでに解消され、その後も偶然と幸運が重なり今のAIができた。
講演ではAIの性能だけではなく、構築に至るまでの経緯、「畳み込み」などの画像AIの基礎、そして今後の話をしようと思う。AI構築の成功要因は理論の理解やプログラミング技術だけではない。むしろ、データや環境がAI-readyかどうか、アナログな泥臭さも重要である。AIに興味はあれど、なかなか手がでなかった方の一歩目を手伝うことができれば幸いである。