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ご挨拶

日本循環器学会は循環器病克服5カ年計画を立て、循環器領域の研究の活性化を目的としてBCVRを設立し、今回で3回目になります。循環器領域では、最近10年間を見ると、カテーテルアブレーションの普及、structured heart diseaseに対するTAVI治療やMitraClip治療などが発達し、臨床面の技術の更新が著しかった一方で、基礎研究の論文は減少の一途をたどりました。若者は短期間で成果の出る領域を好み、時間はかかっても大きな成果を得ることが出来る基礎研究を行うことが少なくなる傾向が出てきており、日本の基礎研究を主導してきたものの一人として懸念をもっております。

しかし、ひとたび目を他の領域に向けると、がん領域ではゲノム解析が普及し、遺伝子変異ごとに個別化医療が実施されようとしておりますし、免疫チェックポイント阻害薬の開発により癌の免疫療法も大きな効果をあげ、日本人のノーベル賞受賞にもつながっております。また、リウマチ膠原病領域のみならず、神経領域、呼吸器領域等でも抗体医薬は従来治せなかった病気に対して劇的な効果を上げるに至っております。また、AIによる画像解析は、皮膚癌の診断や網膜病変の診断において医師以上の精度で診断が出来る時代になって参りました。遺伝子改変技術も進歩も目覚ましく、CRISPR/Cas9等の方法により短時間で遺伝子改変出来、将来は疾病の治療に使われると考えられています。再生医学の進歩も目覚ましく、心筋再生医療も現実の医療として普及する手前まで来ています。

日本循環器学会はBCVRの開催を介して、本邦における循環器領域の基礎研究を発展させることにより、本邦発の画期的な治療法の開発を行い、世界の心臓病治療の発展に貢献したいと考えております。第3回BCVRは2019年9月6日から3日間東京コンベンションホールで開催いたします。全領域の話が聞けるように1会場といたしました。海外からの高名な研究者も招待し、研究助成講演や受賞講演、ポスター発表を行います。また2日目の夜には、参加者全員での懇親会も企画しています。昨年同様に春の学術集会、秋の基礎研究フォーラムとの位置づけで開催する予定です。皆様の積極的な参加をお願い申し上げます。

(写真)福田恵一

福田恵一

第3回BCVR会長
慶應義塾大学循環器内科