会長挨拶

第24回日本がん免疫学会総会
会長 鳥越 俊彦
(札幌医科大学医学部 病理学第一講座 教授)

鳥越 俊彦

コロナ禍の中ではありますが、第24回日本がん免疫学会総会をハイブリッドスタイルにて開催させていただくことになりました。

がん免疫療法は進行がん治療の標準治療に位置づけられ、臨床的には単剤療法から複合免疫療法へ、second lineからfirst lineへと、速いスピードで進化を遂げつつあります。しかしながら、バイオマーカーの確立、作用機序の解明など、基礎的研究が追いついていないのが現状であり、基盤的がん免疫研究を強力に推し進めることの重要性が高まっています。基盤研究の1つは「T-cell Biologyの理解」です。そこで国際シンポジウムにおいて、ミュンヘン工科大学からZehn教授、慶応義塾大学から吉村教授をお招きし、T細胞の疲弊の分子病態についてご講演いただきます。基盤研究の2つめは「自然免疫の理解」です。がん免疫制御を成功させる鍵は自然免疫の活性化と獲得免疫との協働作用にあると言えます。そこで特別講演には、自然免疫研究の世界的な第一人者である東京大学谷口維紹名誉教授にご講演をいただきます。これら基盤研究の推進力となるのはNew technologyです。特にSingle Cell Omics Technologyは腫瘍微小環境の解明にbreakthroughをもたらしつつあります。そこでシンポジウムにおいて、トロント大学から平野直人教授をお招きし、新規T細胞解析技術についてご講演をいただく他、新技術ワークショップも企画しました。2つめの推進力は異分野の融合です。特に、ゲノム医学と免疫学と病理学の融合:Patho-immuno-genomicsは、がん免疫研究に新たな視点をもたらします。そこで本総会ではがんゲノムと免疫病理学の専門家を招くとともに、一般口演の中から若手研究者を選抜し、融合研究の可能性と重要性をクローズアップするワークショップを設けます。そして本会のもう一つの特色は、基礎・臨床・製薬の各研究者の3密促進にあります。製薬企業の研究者にご発表いただく産学交流ワークショップ、基礎と臨床をブリッジするバイオセラピー学会共催シンポジウムなどを企画しておりますので、是非ともコラボレーションの機会にしていただければと願っております。

新型コロナウイルス感染を防止するために、最大限の配慮をして皆様をお迎えしたいと思います。ご来場いただけない参加者には、NEW NORMALのWEB会議を提供いたします。本総会が皆様にとって記憶に残る有意義な学術集会となりますようお世話させていただきますので、どうぞ多くの研究者・臨床医のご参加をお願い申し上げます。

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