大会長挨拶

第29回日本義肢装具士協会学術大会
大会長 時吉 健輔
株式会社青森日東義肢製作所

時吉 健輔

共に一歩先へ

義肢装具士が働く意義について皆さんはどのように考えますか?

会社や組織に所属し、最初は先輩から仕事を教わり、学会やセミナーに参加することで、知識と技術を高め、その積み重ねた経験を目の前の1人1人の義肢装具ユーザーに還元していくことが責務だということは言うまでもありません。かつて千利休は茶道や剣道の技術習得の流れを「守破離」という言葉で表しました。まずは教えを守り、工夫をしながら教えを破り、自分なりのスタイルを獲得し教えを離れるという意味です。義肢装具士も同じく日進月歩で技術を磨く必要がありますが、病院や会社、地域での私たちの役割を考えた時に、この一連の流れとは別に踏むべきステップがあると感じています。地域に住む義肢装具ユーザーを他職種と共に支えていくこと、業界全体の発展に寄与していくこと、そして次の世代に技術と思いを引き継いでいくこと、これらも義肢装具士に求められる重要な因子と考え、「導」という言葉に込めさせて頂きました。故きを訪ねて新しきを知る。新時代へ向けて今一度義肢装具士の働き方を見直す大会にしたい、そのような気持ちで「守破離導」という4文字造語をテーマにしました。 

大会コンセプトは「技」「視点」「新」「体験」の4つです。

…ハンズオンセミナーを開催します。若手から中堅、ベテランまでが技術の再確認をする場になることを期待します。基本的な採型手技や義足のダイナミックアライメント調整、3Dスキャンの操作などバラエティに富んだ内容の実技セミナーを企画しています。

視点…女性シンポジスト、女性座長による女性目線での義肢装具士の働き方改革というシンポジウムを予定しています。経営者の視点、教育者の視点、様々な視点から義肢装具士の働き方を見つめ直したいと考えています。その他、本当に良い靴とは?と題して、整形靴マイスター、義肢装具士、靴メーカー、スポーツ靴開発者それぞれのプロフェッショナルの視点から議論して頂く場も用意しています。

…新時代に向けて、開催形式は対面とオンデマンド配信のハイブリッド形式とします。日本国内どこからでも最新知識を学ぶことができる学会になればと思います。さらに、SNSを活用したフォトコンテストを開催します。義肢装具の可能性を再発見することに加えて、義肢装具士の社会的認知を高めることを目指しています。

体験…障害者スポーツや最新の義肢装具パーツを体験できるブースを多く設置したいと考えています。また、東北と言えば夏祭りが有名です。2日目は一般開放しますので親子で楽しめるお祭りのような雰囲気の学会にしたいと考えています。

私たち実行委員は『参加するすべての人が1歩先へ進める学術大会』の開催を目指しています。

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