ご挨拶

坂田 泰史

第42回日本心臓移植研究会学術集会

会長 坂田 泰史

(大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学 教授)

この度、第42回日本心臓移植研究会を2023年10月8日に開催させていただくことになりました。

COVID-19パンデミックは収束しましたが、ウイルスが消失したわけではなく、まだまだ油断はできない状況です。引き続き感染に注意しながら本年も現状が続く限りオンサイトの開催を予定しております。

研究会テーマは、「Heart and Hope: 心臓移植医療のフロンティアを探る」としました。1999年心臓移植が再開されてから今年で23年が過ぎ、症例は750例を超え(2023年4月現在)、多くの先輩方そして患者さんとご家族の努力により10年生存率は約89%(2022年9月現在)と引き続き世界でも有数の高い生存率を維持しております。また、2020年から2021年の2年間はCOVID-19の影響も大きく受け、2019年の84例を残念ながら下回っておりましたが、2022年から症例数は回復傾向にあり、2023年は4月末で既に46件を数え確実に増加してまいりました。これからの心臓移植は、より多くの症例を重ねながら、生存率の維持に加えてさらなる「質」の向上が求められます。そのために必要なフロンティアつまり「新分野と最先端技術」は何か、を探る必要がある、そんな思いでこのテーマとさせていただきました。

まず「新分野」として、心臓移植後患者さんの社会復帰について取り上げます。社会復帰率の向上には、もちろん術後心機能や術前の全身状態の維持など循環器学的課題も残っていますが、加えて社会の受け入れ体制など社会的課題も残存しております。今回は現在の社会復帰率、特に復職支援を取り上げ参加者で認識を共有したいと考えております。

また、特別講演として、大阪大学大学医学系研究科 統合薬理学の日比野浩教授をお招きし、患者さんを病院から「解放」してくれる可能性のある遠隔薬理学について「最先端技術」と課題をご教授頂く予定です。このように従来あまり取り上げてこられなかった切り口でフロンティアを探したいと思います。

その他、一般演題を募集いたします。是非日頃悩んでおられる素朴な疑問など研究会ならではの雰囲気で生産的な議論を行いたいと思っております。また、日本移植学会認定医、レシピエント移植コーディネーターの資格認定ポイントが得られる教育セッションも従来通り行います。

10月、秋を感じる横浜でお待ちしております。多くのみなさまにご参加頂きますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

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