第6回日本脳神経外科認知症学会学術総会

会長挨拶

第6回日本脳神経外科認知症学会学術総会会長
坂本 哲也
(医療法人久盛会 秋田緑ヶ丘病院 統括顧問 
 秋田県認知症疾患医療センター センター長)

総会会長 坂本哲也

この度、第6回日本脳神経外科認知症学会学術総会を担当させていただくことになり大変光栄に存じます。混迷のコロナ禍ですが、ワクチン接種が大きく前進し、今後のコロナ封じに大きな期待が出始めました。まだまだ予断を許しませんが、日本全国新たなステージに入る予感が感じられます。

2022年(令和4年)6月11日・12日(土曜・日曜)秋田県秋田市の秋田アトリオン(秋田総合生活文化会館・美術館)でハイブリッド開催(現地開催+ライブ配信)すべく準備を進めております。

少し本学会の歴史を述べますと、平成29年に関西医科大名誉教授故河本圭司先生が第1回会長として大阪で行われました。先生はその趣旨をこのように述べられております。

「そもそもこの学会の設立起因は、日本の高齢化に伴い認知症が国民的疾患となっているのにもかかわらず、その対応する医師が極めて少ないことから発しました。認知症でももの忘れのような初期認知症に、脳神経外科医が国民の皆様の要望に気軽に対応できることから発しました」とあります。また同学会で愛媛大学名誉教授の大西丘倫先生は「認知症患者にたいする十分な診療能力をそなえた脳神経外科医を輩出するとともに、認知症に対するより高度な画像診断技術や新しい診断技術、新しい治療法の開発に従事する脳神経外科医を育成することにより、これからの本領域の医療研究をさらに発展させていくことが大いに期待される」と述べています。従って本学会は社会的責任と共に脳神経外科医としての社会的貢献も期待されているものであります。

第6回を迎え、メインテーマは学会設立の原点に返って「脳神経外科医と認知症―その対応と寄与―」とさせていただきました。今回は初の東北での開催であり、地域性も踏まえて血管性認知症を主題に取り上げます。脳神経外科医にとって脳血管は自家薬籠中のものですが、ようやく外科的アプローチも認知症の研究対象になりつつあります。総論、画像診断、内科的治療、外科的治療の各方面から複眼的に迫ることで、病態解明と治療の進展が図られることを期待します。また認知症の病態を整理理解するためには、高次脳機能の神経心理学からのアプローチは欠かせません。最新の知見を含め本態に迫ります。

iNPH、慢性硬膜下血腫、てんかん、慢性外傷性脳症などの外科的重要課題や運転免許の問題を取り上げます。また脳神経外科医による認知症診療が普及するに伴い、認知症疾患医療センターや認知症初期集中支援チームなどに携わる機会が増えてまいりましたので、社会連携なども取り上げます。そして最もホットな話題の軽度認知障害について、画像診断などの診断法と治療を取り上げます。

もの忘れ外来のためのエッセンシャル講習会はこれまで非常に好評でしたので、さらに内容を充実させます。若手研究者による研究発表もお待ちしております。またメデイカルスタッフが脳ドックなどで軽度認知障害に対する気づきや苦労されていることも発表する場を作ります。

第4回・第5回とWeB開催となり両会長様ならびに関係各位には大変ご苦労されましたが、第6回は是非Face to Faceで熱い議論を重ねながら、本学会の向かう方向性を探求し、認知症診療と本学会のこれからについて熱く語り合いたいと考えます。

秋田は酒と新鮮な海の幸・山の幸の豊富な美の国です。お待ちしております。

プログラムに関するご案内

愈々6か月後に開催が迫ってきました。第4回吉峰俊樹会長と第5回中根一会長はWebでの学会を見事に開催され、本学会の新たな方向性を見せていただき大いに鼓舞されましたが、ワクチン接種により新型コロナ禍の出口が見えてきた予感がしますので、今回は対面学会でホットな議論が出来ますよう強く願っております。勿論WEBでの併用も準備してまいります。

現在プログラム委員会で、プログラムの骨子を検討しております。一般公募演題、シンポジウム、エッセンシャル講習会それにメデイカルスタッフのための講習会のプログラム作りを行っております。

  • A)一般演題を広く募集します。ジャンルにこだわりません。認知症に関わる臨床上の経験や、認知症を通した社会貢献の症例報告、そして先端的臨床・基礎研究など幅広く募集しております。特に認知症状を呈した脳外科的疾患の経験例をお願いします。
  • B)シンポジウムは
    1. 正常圧水頭症治療の現状
    2. 認知症と高次脳機能障害
    3. 血管性認知症と外科的挑戦
    4. 高齢者の運転免許
    5. 軽度認知障害の診断とその対応
    6. 地域連携と社会貢献
    7. 今必要な認知症予防の取り組み
    を用意してシンポジストと会員の相互で議論していただきます。一部は演者指定にしますが、一般公募演題からもシンポジストをお願いすることがあります。
  • C)エッセンシャル講習会:好評の「もの忘れ外来診療のためのエッセンシャル講習会」をバージョンアップさせベーシック編とアドバンス編の2部構成にして2日目に行います。これから認知症診療を始めようとする先生、認知症診療に日常携わっておられる先生そして日本認知症学会専門医取得者にも役立つ内容を提供する予定です。そして講習会修了後に修了証をお渡しします。
  • D)メデイカルスタッフのための講習会を新たに設けました。もの忘れ外来や一般外来において外来看護師あるいはその他の業種のスタッフが目の前の患者さんが認知症ではないかと気づく要点とその対処法を、さらにはご家族への説明方法など日常役に立つテクニックを認知症専門看護師に講義していただきます。先生方のメデイカルスタッフにぜひご紹介くださいますようお願いいたします。

なお新型コロナ対応についてですが、勿論感染防止には万全を期し、予防の観点から国や自治体の指導を優先します。プログラムをお渡しする頃には感染防止対策についての新たなガイドラインが提示されることと思われます。安心して学会に参加できるよう万全の準備を整えるようつとめます。