会長挨拶
第33回 一般社団法人日本神経内視鏡学会
会長 松尾 孝之
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
展開医療科学講座脳神経外科学 教授
このたび、第33回日本神経内視鏡学会を2026年11月12日(木)・13日(金)の日程で、出島メッセ長崎(長崎市尾上町4-1)にて開催させていただくことになりました。伝統ある本学会を担当させていただくことを大変光栄に存じますとともに、その責任の重さを痛感しております。
今回のテーマは「The Next Stage - Advancing Innovation in Neuroendoscopy」といたしました。神経内視鏡手術は、高画質・高解像度の内視鏡システム、3D技術、ナビゲーションシステム、さらにはAI技術の導入など、日進月歩の技術革新により著しい発展を遂げてまいりました。本学会では、これまで先人たちが築き上げてきた技術と知見を礎とし、次なる段階へと進むための革新について、会員の皆様とともに議論を深めたいと考えております。
本学会のポスターには、長崎市山王神社の被爆クスノキを採用いたしました。1945年8月9日、爆心地からわずか800メートルの距離にあったこのクスノキは、原子爆弾の熱線と爆風により枝葉を吹き飛ばされ、黒焦げの幹だけが残る瀕死の状態となりました。しかし、被爆からわずか2ヶ月後には新芽を芽吹かせ、今日では東西40メートル、南北25メートルの大樹冠を形成し、青々と葉を茂らせています。ポスター右下には、被爆直後のクスノキと、同じく甚大な被害を受けた私たち長崎大学医学部校舎の写真(米国国立公文書館所蔵)を配しました。焦土の中から力強く蘇ったクスノキの姿は、復興と再生、そして未来への希望の象徴です。この生命力にあふれる姿が、絶え間ない革新により発展を続ける神経内視鏡手術の精神と重なり、本学会のテーマを体現していると考えております。
長崎は、被爆地としての悲しい歴史を持ちながらも、そこから立ち上がり、平和と国際交流の都市として歩んでまいりました。被爆80周年を超えた今、この地で本学会を開催することの意義を深く受け止め、皆様とともに神経内視鏡の新たな発展の一歩を刻みたいと願っております。
会員の皆様にとって実り多き学術集会となりますよう、鋭意準備を進めております。歴史と自然に恵まれた長崎の地で、多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

