第107回日本泌尿器科学会総会

会長挨拶

市川智彦

会長 市川 智彦
千葉大学大学院医学研究院 泌尿器科学 教授

この度、2019年4月18日(木)~21日(日)に、名古屋国際会議場ならびに名古屋学院大学におきまして、第107回日本泌尿器科学会総会を開催させていただくこととなりました。伝統ある本総会を主催させていただくことは大変名誉なことであり、日本泌尿器科学会事務局の皆様とともに鋭意準備に取り組んでおります。主催校の千葉とは距離のある名古屋での開催となり、多くの先生方にご支援を頂戴しております。この場を借りまして厚く御礼申し上げます。

第107回のメインテーマを、「技術と心の調和:次世代への胎動」といたしました。最先端の技術に心が伴うことにより、調和のとれた血の通う医療を提供することができると考えております。テーマの趣旨を踏まえ、初日午前中、第1会場において中村祐輔先生(公益財団法人がん研究会がんプレシジョン医療研究センター所長)ならびに福嶋義光先生(信州大学医学部遺伝医学教室特任教授)に基調講演をお願い致しました。中村先生には「がんプレシジョン医療の現状と展望」、福嶋先生には「ゲノム医療と遺伝カウンセリング」と題してご講演いただきます。中村先生にはゲノム解析に触れるきっかけを頂戴し、福嶋先生からは遺伝カウンセリングの重要性と私自身が兼務する遺伝子診療部部長としての心構えを説いていただきました。直後の会長講演において掲げたテーマについての想いも述べさせていただきたいと考えております。会長指定企画「最先端と次世代へのメッセージ」として11の領域・テーマについて第一人者の先生方からご講演を頂きます。初日午後、2日目午前・午後の3つのセッションに分けて第1会場で予定しています。泌尿器科学会における最先端の情報を明日からの診療・研究に生かしていただければと期待しております。

3,000名収容可能な第1会場の特性を生かし、3日目の午前中に市民も聴講可能な公開セッションを2つ企画しました。まず、千葉県に関連する話題として岡田誠先生(茨城大学理学部教授)に「『チバニアン』と地磁気逆転」と題してご講演いただきます。「Chiba」という名称が地球の歴史に刻まれる可能性を期待しているところです。そして、郡健二郎先生(名古屋市立大学学長)、星長清隆先生(学校法人藤田学園理事長)、小出宣昭氏(中日新聞・東京新聞顧問)による鼎談「長寿社会の医療を考える」です。本総会会場では1週後に「医学と医療の深化と広がり~健康長寿社会の実現をめざして~」をメインテーマとして第30回日本医学会総会が開催される予定となっています。我が国における三大都市圏の一つである中京圏を代表する先生方に、より高い視点から健康長寿社会のあり方について、タブーなしで語り合っていただく予定です。3日目午後閉会式直前の締めくくりとして、2つの招請講演を予定しています。矢島鉄也先生(千葉県病院局病院局長)に「災害における行政の役割 千葉県総合救急災害医療センター(仮称)構想」、古川俊治先生(参議院議員・慶應義塾大学医学部外科・法科大学院教授)には「これからの日本の経済社会構造の変化と泌尿器科診療」、我が国の医療に関する課題について、より高い視点から総括していただきます。シンポジウムの中から、ホットな話題が集中している癌免疫療法と去勢抵抗性前立腺癌を取り上げ、それぞれ1日目・2日目の午後、第1会場に設定しました。関連するテーマの海外招請講演と連続して行うことにより、我が国の現状や今後の課題についても理解が深まることを期待しています。これらの企画をはじめ、「ご挨拶」では紹介しきれない国内外のリーダーの先生方から、ご講演ならびに座長の労をお取りいただきます。

例年同様、多数の演題をご応募いただきました。1890題の応募演題のうち、一般演題(口演、ポスター、ビデオ)1598題、総会賞演題 144題、国際セッション 118題、合計1860題を採択させていただきました。一般演題、総会賞演題はすべて日本語での発表となり、英語での発表はすべて国際セッションで行うこととしています。また、会員の皆様に最新の研究成果をお届けできればと考え、Late-breaking & Encore Sessionの公募を3月12日まで行いました。初日早朝にはランニングイベントを企画しております。安全に実施できるよう、下見を繰り返しながら詳細を詰めております。

既に、会報等でご案内しているとおり、会長校として試行錯誤を繰り返しながら第107回日本泌尿器科学会総会の準備を行ってきました。プログラム委員会を開催し、各専門領域部会長の先生方から貴重なご意見を頂きながら、セッションの企画を進めました。主催校の千葉とは距離のある名古屋での開催としたこともあり、すべての作業を日本泌尿器科学会事務局において担当スタッフの皆様と一緒に行いました。主催校では把握しきれない膨大な情報を、担当スタッフの視点から確認して頂き、プログラムに反映することができました。国際セッションについても事務局スタッフの支援を受けながら国際会議を同時に開催するような手順で準備を進めました。国際委員長、国際担当事務局スタッフの皆様には多大なるご支援を頂きました。泌尿器科学会会員を対象とする総会ではありますが、海外からの参加者にも満足していただけるように、インターナショナルエリアを設営する予定としております。

本総会では例年と同様に学術大会を3日間で行い、4日目は卒後教育プログラムビデオ講習会を開催する予定です。是非とも多数の皆様のご参加をお待ち申し上げております。

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