日本糖尿病学会 第61回糖尿病学の進歩

世話人挨拶

会長

日本糖尿病学会 第61回糖尿病学の進歩

世話人 篁 俊成
金沢大学医薬保健研究域医学系 
内分泌・代謝内科学

第61回「糖尿病学の進歩」を、2027年3月、加賀百万石の文化が息づく金沢にて開催いたします。テーマは「因・縁・果を観る」です。

仏教において世界の理を説明する基本原理が「因縁果」です。あらゆる事象は直接的な原因(因)のみならず、諸条件(縁)が重なり合うことで結果(果)として現れます。因と果の間には無数の縁が介在し、その関係性は「因 → {縁・縁・縁…} → 果」と表せます。縁は単一の連鎖ではなく、並列的かつ複雑系として存在します。時にその連鎖がカオス的であれば、バタフライ・エフェクトのごとく、微小な「因」が複雑な「縁」を経て巨大な「果」をもたらすこともあるでしょう。

この因縁生起のモデルは、医学における「病因 → 病態 → 臨床症状」、あるいは生物学における「刺激 → 分子・細胞応答 → 個体表現型」というパラダイムと驚くほど合致しています。ミクロの生命現象に目を向ければ、細胞内シグナル伝達はまさに複雑な因縁の連鎖です。インスリン結合を「因」とすれば、下流の多層的なシグナル分子の修飾が「縁」となり、糖代謝や合成代謝といった多様な「果」を導きます。そこには冗長性や相互補完が存在します。これらはチーム医療を含めた糖尿病療養の現場にもそのまま当てはまります。

病の本質を探求する過程で、時として「縁」を「因」と見誤ることがあります。真の上流である「因」を見抜く眼が求められています。本学会では、基礎研究からチーム医療に至るまで、糖尿病学のあらゆる課題を「因・縁・果」の視座から捉え直します。因を見抜き、縁を理解することで、本質を見極める。
そんな濃密な二日間となることを願っております。