ご挨拶

第54回日本定位・機能神経外科学会会長 山本 隆充

第54回日本定位・機能神経外科学会
会長 山本 隆充
日本大学脳神経外科学系応用システム神経科学分野

 第54回日本定位・機能神経外科学会を、2015年1月16日、17日に東京永田町の都市センターホテルで開催させていただきますことを大変光栄に存じます。

 本学会は1963年に第1回学術集会を開催してから50年以上にわたって、日本の機能神経外科の進歩に多大な貢献をしてまいりました。脳脊髄刺激療法では、1979年に慢性植込み型の脳深部刺激装置を用いた脳深部刺激療法が開始されました。最初は神経障害性疼痛(求心路遮断痛)の治療で、視床知覚中継核がターゲットでありました。1988年には脊髄刺激とともに高度先進医療として認可され、1992年には難治性疼痛の治療、また2000年には不随意運動に対する治療法として保険収載されました。私は幸いにも恩師である坪川孝志先生が施行した我が国で最初のDBS手術に参加させていただき、これまでに多くの脳脊髄刺激装置を使用する機会を得ました。これらの経験をふまえて、「脳脊髄刺激装置の進歩と臨床応用」について、本会でご紹介させていただきたいと考えています。

 本会の主題は、「機能神経外科による神経機能制御と神経機能回復」とさせていただきました。これまで不随意運動や疼痛に対して、機能異常を上手に制御することによってすぐれた実績を上げてきました。しかし、神経機能自体を回復させることも、今後の機能神経外科の重要な課題であります。ニューロリハビリテーション(運動麻痺に対する機能神経外科)というテーマで、脳脊髄刺激療法を用いた運動麻痺の治療についての特別企画を予定しています。この特別企画の基調講演として、慈恵医大リハビリテーション科の安保雅博教授に経頭蓋磁気刺激とリハビリテーションを融合した運動機能回復について、ご講演をお願い致しました。

 特別講演としては、Prof. Andres Lozano (Tronto, Canada) に認知機能に対するDBSをアルツハイマー病の治療を含めてご講演いただき、Prof. Jin Woo Chang (Seoul, Korea) にFocused ultrasoundを用いた本態性振戦と強迫性障害の治療についてご講演いただく予定です。また、Prof. Sang Sup Chung (Seoul, Korea) には、Stem Cellを用いたパーキンソン病治療の臨床経過をご紹介いただくとともに、日韓の機能神経外科医のこれまでのfriendshipについてもご講演いただく予定です。シンポジウムとしては、1) 新たなニューロモデユレーション技術の展開と課題、2)パーキンソン病治療における機能神経外科の役割、3)難治性疼痛の集学的治療、4)各種不随意運動治療における新知見、5)固縮、痙縮治療の実際と長期経過、6)運動麻痺に対する機能神経外科、を予定しています。さらに、各種の教育セミナーも計画しています。

 東京赤坂の名物であった赤坂プリンスホテルが取り壊しとなり、赤坂近辺もめずらしい風景となりました。神経再生のように変化する東京都心の風景をご覧いただき、東京の味覚も十分に楽しんでいただきたいと考えております。機能神経外科に携わる先生方の懇親を十分に深めていただき、実り多い学術集会となりますよう期待しています。皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げております。

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