会長挨拶

第23回日本航空医療学会総会 会長 杉山 聡

第23回日本航空医療学会総会
会長  杉山 聡
埼玉医科大学総合医療センター
高度救命救急センター長

この度、私は第23回日本航空医療学会総会の会長に推挙され、2016(平成28)年10月28日(金)、29日(土)に、ウェスタ川越(埼玉県川越市新宿町1−17−17)において学術集会を開催する運びとなりました。歴史ある学会の会長という重責に身の引き締まる思いであります。

埼玉県の航空医療は1997(平成9)年秩父地区の救急医療に対応するため、埼玉県防災航空隊・秩父地域消防本部・川越地区消防本部・埼玉医科大学総合医療センターの四者で協定を結び山間部の救急搬送に消防防災ヘリコプターを使用したことに始まります。2005(平成17)年には消防防災ヘリによるドクターヘリ的運用を開始し、2007(平成19)年に埼玉医科大学総合医療センターを基地病院とした全国12番目の埼玉県ドクターヘリが就航しました。私ども高度救命救急センターはプレホスピタルケアと重症外傷、脊髄損傷、虚血性心疾患、脳卒中、熱傷、中毒などを中心に対応しておりますが、特に重症多発性外傷、脊髄損傷の治療成績向上にドクターヘリが果たした貢献は誠に大きなものであります。
 さて、日本航空医療学会は創設から22年、ドクターヘリ1号機運航開始から17年が経過しました。この間本学会は航空機を活用した医療に力を注ぎ、傷病者の生命予後改善と後遺症軽減に貢献して参りました。しかし2011年に東日本大震災がおき、また相次ぐ火山活動の活発化や最近ではテロの危険性の増加など、現在日本を取り巻く環境は大いに変化しています。一方科学技術はドクターヘリ運航開始時より格段の進歩を遂げました。例えばドローンの出現やロボット技術の発展、自動車自動運転システムや事故自動通報システムの開発、航空機動態管理システムの開発など発展はめざましいものがあります。また、2020年には東京オリンピック開催が決定しました。これらを総合して考えますとドクターヘリの活躍の場は近い将来ますます広がっていくことと思われます。そこで本学会のテーマを「航空医療の近未来」としました。現在事務局にてD-Call NetやJAXA D-NET、災害分野でのドローン活用、スポーツとドクターヘリなどの演題を考慮中です。本ホームページ上で演題募集をお知らせしますので宜しくご応募下さい。勿論一般演題も募集いたします。先進技術を上手に利用することでいろいろな場で発生する傷病者の生命を守り後遺症軽減に繋げる、本学会はその糸口をつかむ議論の場になればと希望します。

2016(平成28)年3月吉日