第31回日本腰痛学会 The 31st Annual Meeting of the Japanese Society for the Study of Low Back Pain

会長挨拶

第31回日本腰痛学会
会長 西良 浩一
(徳島大学大学院医歯薬学研究部運動機能外科学(整形外科) 教授)

この度、2023年12月1日(金)~2日(土)にアスティとくしまにおきまして、第31回日本腰痛学会を開催することとなりました。伝統ある本学会を担当させていただきますことを大変光栄に存じます。

第31回では「一葉知秋 -pain generatorを見究める-」をテーマとさせていただきました。一枚の葉が散るのを見て、秋が来るのを感じる。つまり、些細な事象から真実を見究めるという意味を含みます。サブテーマには「pain generatorを見究める」としました。まさに、腰痛には謎はないとの意気込みです。

腰痛の85%を占めると言われる非特異的腰痛。そのほとんどが原因不明と言われてきました。しかしながら昨今の画像診断の向上において多くの病態がわかってきました。また非特異的腰痛は、画像にとらえにくいため、腰痛患者の問診や動作から病態を推察するという洞察力が必要となります。まさに、一葉知秋なのです。本会では病態解明をメインとして、さらに腰痛治療の最先端(ロボット手術、AR/VR手術など)も明らかとしていきます。

さて、メインプログラムですが、Invited lectureとして、Modic changeの提唱者であるMichael Modic教授が徳島までお越しくださいます。海外招待講演に加え、二つのModic changeシンポジウムではコメンテーターを務めていただき、コメントしていただきます。そして、Discogenic painの画像所見であるToxic annular tearの提唱者であり、全脊椎内視鏡手術FESSの創始者であるAnthony Yeung教授にご講演を依頼しました。椎間板性腰痛の診断そして最小侵襲ラジオ波thermal annuloplastyをご講演されます。

特別企画1は、腰痛運動療法です。体幹業界トップのお二人、早稲田大学教授・KING金岡恒治先生、E.M.I.(株)代表・QUEEN本橋恵美先生より腰痛に対する運動制御、キネマティックス・コントロール・エクササイズなど、新しい概念の運動療法最前線が紹介されます。特別企画2は、腰痛への取り組み:他科に聞く。ペインクリニックでは日本代表であるNTT東日本関東病院の安部洋一郎先生、脳神経外科から、私の全内視鏡手術の盟友である順天堂大学准教授・尾原裕康先生にご依頼しました。興味深い取り組みがご紹介されます。特別企画3は、腰痛への取り組み:トレーナー&セラピストに聞く。セラピストとして当教室で准教授を務める藤谷順三先生がキネマティックス・コントロール、コントロロジーの概念から運動療法を、セラピストから日本代表の理学療法士である、桐蔭横浜大学教授、成田崇矢先生に登壇していただきます。医師には無い特殊な視点から腰痛、運動療法を見つめた鋭い講演が期待されます。文化講演として、アルピニストの野口健さんにお願いしております。野口さんでないと語れない、我々が想像を絶する山の世界を楽しみにしてください。その他、教育研修講演、シンポジウム、主題など多くのプログラムを予定しております。

徳島には、世界最大といわれる鳴門の渦潮、日本三大秘境の一つと言われる祖谷。1100年代後半、源平合戦の時に作られた祖谷のかずら橋は、約1000年後の今も現役です。学会の前後でお時間あればぜひお立ち寄りください。徳島は食でも有名です。まずは海の幸。渦潮で有名な鳴門海峡の激しい潮流のなかで育った鯛は、「鳴門鯛」というブランド名でよばれています。激流に揉まれたため身が引き締まっており、分厚く歯ごたえがあることが特徴です。続いて、獰猛な見た目からは想像もつかないほど、繊細で上品な味わいが人気の鱧(はも)です。鳴門を中心に徳島全域で獲れる鱧は、栄養価が高く、骨や皮が柔らかく、肉厚だが淡白でやさしい味わいが特徴です。徳島は畜産でも評価が高いです。黒毛和種の「阿波牛」、阿波地鶏という軍鶏を父親に持つ「阿波尾鶏」。イノシシ肉の優れた特徴と、優良品種の肉質を兼ね備えた、新しいブランド豚「阿波とん豚」。いずれも究極の至高のメニューに値します。徳島は野菜も有名です。日本のシェア90%以上を誇る「すだち」をはじめ、「春にんじん」「生しいたけ」「れんこん」「なると金時(かんしょ)」「カリフラワー」「ブロッコリー」「ゆず」「洋ラン」など、豊富で多彩な野菜・果実・花が生産されています。徳島の食も合わせてご堪能くださればと思います。

現在、実り多く意義ある学術集会とするため、鋭意準備に取り組んでいるところでございます。是非とも皆様のご参加をお待ちしております。