会長挨拶

ごあいさつ

この度、第4回日本腫瘍循環器学会学術集会（2021年10月12日～14日）を担当させていただくことになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
高齢化社会を迎えたわが国では、1981年以降、死因の第１位が「がん（悪性腫瘍）」であり、現在、第２位が心疾患（高血圧症を除く）、第3位が脳血管障害となっています。このため、心血管系疾患を合併する悪性腫瘍患者が年々増えています。一方、2000年以降のがん治療の進歩は目覚ましく、とりわけ、がん分子標的治療薬の開発によるがん薬物療法の進歩により、進行がんの治療成績は年々向上しています。しかし、種々のがん分子標的治療薬の副作用により、心血管系合併症を有する患者が増加しています。このため、進行癌治療に際して、以前よりも心血管系疾患や心血管系合併症の診断と治療が重要になっています。
このような背景から、最近10年の間にOnco-cardiology（腫瘍循環器学）またはCardio-oncology（循環器腫瘍学）が内外で徐々に注目されるようになりました。わが国においても2018年に日本腫瘍循環器学会が発足し、2018年11月に第1回学術集会が開催され年々参加者が増えています。
今回の第4回学術集会 (JOCS 2021)では、「State of the art onco-cardiology 最新の腫瘍循環器学―わが国の現状と課題―」をテーマとし、腫瘍循環器学の最新の話題をフォーカスすると共に、日常診療における腫瘍循環器学領域の課題について広く議論する場を設けます。新型コロナウイルス感染症の流行のため、今回の学術集会は完全ウェブ形式で開催させていただきますが、参加者の皆様が活発な議論を進めていただけるようにいたします。より多くの腫瘍医と循環器科医を初めとする医療従事者や研究者の皆様の御参加をお待ち申し上げます。そして、皆様のお力添えにより、この領域の発展に繋がる学術集会になることを祈念しております。

2021年（令和3年）2月吉日
第4回日本腫瘍循環器学会学術集会　会長
東北大学大学院医学系研究科・臨床腫瘍学分野　教授
石岡千加史