第51回日本医学放射線学会秋季大会
大会長 江原 茂
岩手医科大学
放射線医学講座 教授

 
  第51回日本医学放射線学会秋季臨床大会の開催にあたって

2011年3 月11日我々が経験した東日本大震災とそれに引き続いた一連の大災害は、依然として新しい記憶として我々の脳裏に焼き付いています。それによって人生を一変させた方々も多く、我々の環境もこれ以前と以後に大きな変化を生じたことは事実です。今回の秋季大会開催の大きな目的は、震災によって得た影響の大きさとそこから我々が学んだ知恵を総括し、併せてこの未曾有の災害に対して援助の手を差し伸べてくださった方々にお礼を兼ねて我々の現状報告を発信することにあります。またその中でこの東北の地にあって放射線医学における我々の将来像を提案することにも意義があると考えています。

この大会が開催される盛岡市は、1983年に当時の岩手医科大学 栁澤 融 教授によって第19回秋季臨床大会が開催された町です。私自身を含めてこの遠い過去の大会の状況をご記憶の方はごく少数ではないかと思いますが、当時とは大きく異なる盛岡の町をみていただくだけでも興味がつきないものと考えます。この盛岡市は北東北の主要な都市とはほぼ等距離のアクセスしやすい位置にあり、東京からは東北新幹線を用いて2時間15分ほどで来られる時代になりました。大会はこの盛岡駅に隣接した会場で開催されます。また西日本からは花巻空港や仙台空港を利用することで、全国どこからでも意外にアプローチしやすい位置にあることを実感して頂けるのではないかと思っています。

現在の放射線医学は20-30年前のCTやMRIの導入時のようなブームに沸きかえった状況にはありませんが、各方面で達成された成果は臨床医学の発展に着実に寄与してきています。molecular imagingや各種融合画像の新たな展開がみられ、そして将来の放射線科医育成のための教育の問題や今日の臨床医学に欠かすことのできない医療安全に関わる課題など新しい視点を要求される分野には限りがありません。さらに我々がこの大会のテーマとした災害医療における放射線医学の関わりも含めて、若い研修医から熟練した放射線科医までの幅広い層の放射線科医の方々には実りの多い会にしようと企画しています。

10月初旬の北東北はまた観光にも適した時期にあります。世界遺産平泉や三陸の海、八幡平の山や温泉など、観光スポットには事欠きません。ぜひとも多くの皆様に参加して楽しんで頂きたいと思っています。10月2日から4日の3日間、盛岡でお会いできるのを楽しみにしております。