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ご挨拶

第37回日本心臓移植研究会学術集会 会長 小野 稔

第37回日本心臓移植研究会学術集会 
会長 小野 稔 
(東京大学大学院医学系研究科 心臓外科学講座 教授)

このたび、第37回日本心臓移植研究会学術集会を2018年10月13日(土)に東京京王プラザホテルで開催させていただくことになりました。

1999年2月に心臓移植が国内で再開されてから間もなく20年が経過してようとしています。通算の移植数は400例に到達間近です。年間の心臓移植数は少ないながらも着実に増加の一途をたどり、数年以内に年間100例の時代を迎えることは確実です。欧米に大きく後れを取ったにも関わらず、移植後10年生存率は約90%と世界を驚愕させる予後を示しています。しかしながら、ドナー数の不足は深刻な状態にあります。最近の心臓移植の新規登録者が年間約200名であるのに対して、移植実施数はまだその半分にも満たないという状況であり、移植待機希望者数は2018年内には700名を超えると予測されています。その結果、移植待機期間は3年を遥に超えて、数年以内には5年の待機が現実的な課題となると思われます。

この長期の待機期間を安全に乗り切るためのツールとしての植込み型補助人工心臓の持つ役割は益々重要となってきています。現在はbridge to transplantationのみが保険償還条件となっていますが、2年以内にはdestination therapy目的の装着が承認される見込みが高いと思われます。重症心不全の車の両輪である心臓移植と植込み型補助人工心臓が今後どのように協調し、かつ相補的な役割を果たすのか、真剣に考える必要があります。

わが国の心臓移植も10年を超える患者が50人を超え、移植後慢性期の合併症に遭遇する機会が増えてきました。腎不全、悪性腫瘍や移植後冠動脈病変などがそうです。最近、抗体関連拒絶反応に関する知見が進歩し、適正な免疫抑制(tailor-made)の必要性が認識され始めています。どのような病態で、またどのタイミングで免疫抑制を強化すべきなのか、また、どの条件を満たせば免疫抑制を緩和することが可能であるのか、これらの情報はこれまで克服が困難と思われてきた移植後遠隔期合併症の地図を書き換える可能性を秘めていると考えられます。

本学術集会では、新規免疫抑制剤として大いに期待されているエベロリムスに再度焦点を当ててみたいと思います。また、かつてのブラックボックスへ光明が差し込みつつある抗体関連拒絶反応についてもup-dateできればと考えています。10月の爽やかな季節に皆さま方と熱い議論を交わせることを心待ちにしております。