第65回日本小児血液・がん学会学術集会 第21回日本小児がん看護学会学術集会 / 第28回がんの子どもを守る会公開シンポジウム

会長挨拶

第65回日本小児血液・がん学会学術集会

会長 真部 淳

北海道大学大学院医学研究院小児科学教室教授

真部 淳

皆様、こんにちは。第65回日本小児血液・がん学会学術集会を担当いたします真部(まなべ)と申します。よろしくお願いします。小児血液がん領域は長らく小児血液学会と小児がん学会に分かれていましたが、2011年に2つの学会が合体し、学術集会も年1回となりました。北海道では過去には1994年に国立札幌病院の武田武夫先生が小児血液学会を、そして1998年には同じく武田武夫先生が小児がん学会を開催されていますが、その後は行われておらず、今回は実に25年ぶりに開催されることになりました。

この学会が扱う疾患は多く、白血病、リンパ腫、組織球症などの血液腫瘍疾患と、脳腫瘍、神経芽腫、胚細胞性腫瘍、軟部腫瘍、骨腫瘍、肝腫瘍、腎腫瘍、網膜芽腫などの固形腫瘍から成る悪性腫瘍に加えて、再生不良性貧血、血小板減少性紫斑病、好中球減少症、血友病などの非腫瘍性血液疾患、そして遺伝性骨髄不全、原発性免疫異常症などを含む大きな領域をカバーします。治療にあたっては、小児内科のみならず、小児外科、脳外科、整形外科、泌尿器科、眼科、病理診断、放射線治療、麻酔科、緩和医療、遺伝科などの大きなチームが必要です。骨髄移植などの造血幹細胞移植も含まれます。それに加えて、医師以外の多くの職種が加わってさらに大きなチームが形成され、そして、患者である小児を取り囲む保育や教育など、あまたの人たちがそれぞれ大きな役割を有します。そのため、この学会は伝統的に、小児がん看護学および患者会と共同で学術集会を開催してきました。今回は、私の担当する小児血液・がん学会に加えて、北大小児看護学の松澤明美先生が会長を務められる第21回日本小児がん看護学会と第28回がんの子どもを守る会公開シンポジウムも同時に開催されます。

このような大きな学会は北大の私たちの教室だけでは行えません。そこで札幌医大、旭川医大、札幌北楡病院、コドモックルの医師と看護師などが一体となって現地組織委員会を立ち上げました。共通テーマとして、「心と身体に優しい治療とケアをめざして」を掲げます。といっても、これは基礎研究者から臨床に携わるさまざまな人たちが普段から取り組んでいることを言ったに過ぎません。学会には国内のみならず、海外からも多くの参加者が来られます。コロナが落ち着けば、コンサート(仲道郁代さんのピアノリサイタルと学会員から公募する祝祭オーケストラなど)、チャリティ・ラン、懇親会などのお楽しみ企画も満載で臨む所存です。参加される皆様は普段は忙しく、また厳しい毎日を送られていると思います。この学会に参加し、志を同じくするたくさんの人たちと交流することにより、「私たちは、本当に良い仕事をしているのだ」という確信、Confidenceを持って帰っていただけるように頑張る所存です。

松澤明美

第21回日本小児がん看護学術集会

松澤 明美

北海道大学大学院保健科学研究院
創成看護学分野 小児看護学教室

第65回日本小児血液・がん学会学術集会長・真部淳会長、第28回がんの子どもを守る会公開シンポジウム・山下公輔理事長とともに、第21回日本小児がん看護学術集会を担当させていただきます。

この度の学術集会のテーマは「心と身体に優しい治療とケアをめざして」です。がんの診断を受けた多くの子どもたちの長期生存が可能になる一方、これらの子どもたちは集学的治療や革新的治療とともに、さまざまな苦痛を経験し、それらは時に、その後の子どもと家族の暮らしやライフイベントに甚大な影響を及ぼしています。それゆえに、これらの子どもと家族へ、子どもと家族中心の思いやりのあるていねいな心と身体に優しい治療とケアが、いつでも、どこでも、必要とするすべての子どもたちに提供されることは、かかわる専門職や社会にとって究極の目標です。

子どもへの心と身体に優しいケアをめざすうえでは、がんと闘うという稀有な体験を余儀なくされる子どもの“子どもの時間”を保障することが重要課題であり、どのような発達段階や療養の場においても、二度と戻らない子どもとしてのかけがえのない時間が、子どもらしく過ごせるよう支援する必要があります。またわが子の子どもらしい時間を誰よりも願う家族もまた、子どもの闘病に伴い、家族自身の健康や暮らしへ多大な影響を受けており、これらの子どもと同様にケアを必要としています。

このような子どもと家族の現状を踏まえて、小児がん看護に関する課題解決や実践力の向上の場となるよう、長期フォローアップやAYA世代へのケア、ホスピスを含めたエンドオブライフケアなどの課題に引き続き焦点を充て、看護シンポジウム、特別講演、テーマセッションなどの企画の準備を進めています。また、専門性の高い小児がん看護実践の場において、子どもの時間を保障する看護の意義や、ケアする家族への看護のあり方を考える機会、小児がん看護実践が「知」として可視化され、共有できる機会も提供できればと予定しています。さらに、多様性のある子どもと家族の安心した暮らしには、専門職だけではなく、市民との協働・連携などの社会とのつながりも必要不可欠です。そのため、これらにかかわる当事者の経験に基づく「知」も共有いただきたいと考えています。このほか、例年に引き続き、小児がん看護学会の委員会企画も予定しているところです。

開催時期の生活がどのようになっているのか、見通しが充分には立ちにくい状況にありますが、前回の学術集会同様に、直接、札幌でみなさまにお会いすることができ、活発な議論ができるよう願いつつ、多様な「知」が集結する学術集会に向けて準備を進めてまいります。本学会を通じて、ご参加くださったお一人おひとりが実践の場に持ち帰りたいと思える心ときめく機会を提供できれば、心から嬉しく思います。ぜひ多くのみなさまにご参加いただきますよう、心からお願い申し上げます。

第28回公益財団法人がんの子どもを守る会公開シンポジウム

理事長 山下公輔

公益財団法人 がんの子どもを守る会

真部 淳

長年に亘って、「日本小児血液・がん学会学」並びに「日本小児がん看護学会」の学術集会の場で共催させていただいております、公益財団法人がんの子どもを守る会公開シンポジウムも2023年で第28回を迎え、学術集会会期中の10月1日(日)に札幌市のロイトン札幌での開催を予定しております。

3年ぶりの対面開催実現となった2022年に続き、2023年は3日間通しての完全対面での開催が計画されており、北の大地札幌で皆様にお目にかかれることを大変嬉しく思っております。

当会は、1968年の創立以来、小児がん親の会として小児がん患児・家族支援の諸活動に邁進して参りましたが、その私共にとって医療者の皆様のご支援は必要不可欠なものであります。中でも、両学会のご協力を頂きながら長年に亘り学術集会の場で開催してきておりますこの公開シンポジウムは、当会の諸活動の大きな柱の一つであり小児がん医療界と患児・家族の協働の象徴とも考えております。

第28回となる本年の公開シンポジウムは、両学術集会の共通テーマ「心と身体に優しい治療とケアをめざして」を共有しながら、「小児がん患児・家族の心のケア」をテーマとして開催致します。これまで同様に患児・家族、医療者をはじめ、社会全体にとって有意義な内容とすべく、今後演者選定等を含め詳細を鋭意固めて参ります。

本公開シンポジウムの他に、例年学術集会の期間中に開催しております、「小児がんの子どもたちの絵画展」並びに、昨年は日程の関係で実現できませんでした「チャリティ・ウォーク」も予定しております。また、会期中を通して例年同様、「関連団体紹介コーナー」を開設いたします。なお、例年行っております「治療研究成果報告」は、時期の関係で本年は会場展示ではなく、後日当会のホームページで閲覧して頂く形になりますのでご理解をお願い致します。

更に、本年の特別企画として真部会長のご配慮により、仲道郁代さんのチャリティー・ピアノリサイタルも企画しており、こちらも多くの方々に楽しんでいただけるイベントとなることを期待しております。

当会が、こうして学会学術集会の場で公開シンポジウムはじめとしたプログラムを継続的に開催することができますのも、ひとえに両学会をはじめ多くご支援者の皆さまの長年のご指導・ご鞭撻の賜物と考えております。この場をお借りして真部会長、松澤会長をはじめとした関係の皆様に御礼を申し上げると共に、公開シンポジウムその他のプログラムへの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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