第76回済生会学会 令和5年度済生会総会
学会長 中尾 浩一
(済生会熊本病院 院長)
 第76回済生会学会 令和5年度済生会総会を令和6年1月27日(土)、28日(日)、熊本市の熊本城ホールにて開催させていただきます。歴史と伝統のある本学会を担当いたしますのは、誠に光栄なことであり、身の引き締まる思いです。熊本での開催は、45年ぶりとなります。

 学会テーマは、「命を支える杖になる 〜済生のこころとアウトリーチ〜」といたしました。この「命の杖」という表象は、済生会創立時の医務主管であり、芝病院(現:東京都済生会中央病院)の初代院長であった北里柴三郎博士の言葉、「医者は国民にとっての命の杖とならねばならない」という信念に由来しています。熊本は、北里博士生誕の地であり、伝染病の予防と治療にその生涯をかけた博士の肖像は、令和6年発行の紙幣に描かれることになりました。命を支える杖となり、「施薬救療」という済生のこころをもって、人々の命と暮らしに手を差し伸べること(アウトリーチ)は、済生会の存在理由であり、私たち済生会人の使命です。そうした役割を果たすことのできる次の世代を育て、「創立の精神」を託したい。テーマにはそんな期待が込められています。

 基調講演では潮谷義子済生会会長から、当会で奮励努力する皆さんへのメッセージを頂きます。潮谷会長は、前熊本県知事であり、長年に渡り、環境や福祉の諸問題に取り組んでおられます。特別講演には熊本県阿蘇郡の「北里柴三郎記念館」館長である北里英郎先生にご登壇いただきます。北里館長は、北里柴三郎博士のひ孫にあたり、北里大学名誉教授も務める微生物学の権威です。そのほか、シンポジウム、一般演題など、多くの方が学び合い、親しく交流のできる場を準備して参ります。

 熊本市は西に天草、東に阿蘇を望む歴史ある城下町です。海と山に囲まれた「清冽なる水の都」熊本は食の宝庫でもあります。皆様には学会、総会にご参加いただきますとともに、熊本の歴史と文化に触れ、自然と味覚とを楽しんでいただければと思います。梅の蕾みが綻ぶ立春間近の熊本で、多くの皆様とお目にかかれますことを楽しみにお待ちしております。