教育講座

メディカルプロフェッショナル対象のセッションです。

教育講座1・2の聴講には各共催企業のウェブサイトからの事前申込みが必要です。聴講票(申込みを受け付けた方に各共催企業より送付)をお持ちでない方は入場できません。
会場に到着されましたら、学術大会受付にて学会参加費(1日券:4,000円、4日間通し券:10,000円)をお支払いのうえ、会場前までお越しください。聴講票の確認をさせていただきます。

※メディカルプロフェッショナルの方で、本教育講座1・2セッションのみ参加される方はそれぞれ1日券が必要になります。

※本教育講座は、それぞれ認定心電検査技師制度認定更新の要件(10単位)に該当します。受講証を受け取り、記名のうえ、後日の自己申告まで保管してください。なお、更新単位の付与につきましては、遅刻(20分以上)、早退は認められておりません。

※定員になり次第締め切りといたします。

教育講座1

日 時:
2017年9月16日(土曜日) 13:30~16:30
会 場:
パシフィコ横浜 会議センター 5階 503
テーマ:
『多方面から心臓を診る』
座 長:
座長の言葉 山科  章(東京医科大学名誉教授/東京医科大学医学教育推進センター特任教授)

演題・演者:

  • アブストラクト 失神・心臓突然死に関する従来法よりも低侵襲的な診断・治療・予防について
    橋本 賢一(防衛医科大学校集中治療部)
  • アブストラクト 心電図で右心系の病気を考える
    山科  章(東京医科大学名誉教授/東京医科大学医学教育推進センター特任教授)
共 催:
日本光電工業株式会社・教育講座1係
(URL:http://www.nihonkohden.co.jp/iryo/seminar/ecg/20170916.html
(お問合せ TEL:03-5996-8028 FAX:03-5996-8236)

教育講座1『多方面から心臓を診る』

心電図の歴史は古く、発明者のEinthovenが最初に健常者の心電図記録として発表したのは1903年であり、すでに100年以上が経過している。Einthovenは双極肢誘導のⅠ、Ⅱ、Ⅲ誘導のみであったが、その後、1942年にGoldbergerにより肢誘導(aVR、aVL、aVF)、1944年にWilsonにより単極胸部誘導(V1-6)が紹介され、今日の標準十二誘導となった。十二誘導により冠状(前額)断面と横断(水平)断面で、心臓の電気現象をとらえることができるようになった。限られた電極数で最大限の心臓の電気情報を得るにはこの方法が最適だとして70年以上が経過しているが、当然、限界もある。胸部誘導のV1-6では主に左室の前面から側面の正面にあり、右室前面や左室背部の電気現象をとらえるには不向きである。また短時間の安静時心電図記録では微小電位やダイナミックな変化をとらえることができない。心臓の部位で考えると左室に比べて右室は心筋量が少ないために電気現象もとらえにくく、判読に注意が必要である。そういった点に注目して、今回の教育講座では「多方面から心臓を診る」をテーマとして、失神や心臓突然死に関連する重篤な不整脈を予知する方法、右室の変化を心電図からとらえる方法について解説してもらうことにした。それぞれ臨床において重要なテーマであり、ぜひ、皆さんの聴講を勧めたい。

失神・心臓突然死に関する従来法よりも低侵襲的な診断・治療・予防について

橋本 賢一(防衛医科大学校集中治療部)

医療技術や研究の進歩により心臓突然死に関する診断・治療・予防法がより低侵襲になりつつある。ガイドラインでは、侵襲的な電気生理学的検査 (EPS)が心疾患における致死性不整脈による突然死リスク評価のゴールドスタンダードである。EPSでの心室細動、心室頻拍の誘発が植込み型除細動器(ICD)の適応根拠となる。一方、非侵襲的心臓突然死リスク検査項目として心室遅延電位(LP)、T波オルタナンス(TWA)の有用性が報告されているもののEPSの代用には至らないのが現状である。近年Holter ECGで24時間のLP,TWAの評価が可能となり検査精度が高まりつつある事を述べたい。一方、従来のICDより低侵襲 で合併症を低減することが期待されている完全皮下植込み型除細動器 (S-ICD)・着用型自動除細動器の適応及びup dateな話題について触れる。また、失神・潜在性心房細動の検査として有用な植込み型心電図記録計の適応や新しい話題を述べたい。最後に、右心系疾患や後壁心筋梗塞診断に有用な、新たなるツールとして期待されている18誘導心電図についても触れる。

心電図で右心系の病気を考える

山科  章(東京医科大学名誉教授/東京医科大学医学教育推進センター特任教授)

犬の実験などで右室自由壁を破壊しても著しい循環障害や右心不全がみられないことから、右心室は付け足しのようなものと思われている時代もあった。また、右室の形態は複雑であり、左室機能の評価に用いられている方法をそのまま右室に当てはめることができないため、いまなお右室機能の解析法で確立されたものはない。右室の心電図診断もその傾向があり、テキストでも左心室の病気については詳細まで記載されているが、右心系の病態や疾患についての心電図の記載はわずかである。ところが、最近になって右室の評価が注目されるようになってきた。成人先天性心疾患が増加し、急性肺動脈血栓塞栓症の発生もまれでなく、慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症も多いことが分かってきた。急性下壁心筋梗塞に右室梗塞を合併することもまれでない。そこで、今回は注目が集まっている右室の異常を心電図でいかに発見し、診断するかに注目して解説する予定である。

教育講座2

日 時:
2017年9月17日(日曜日) 13:20~16:20
会 場:
パシフィコ横浜 会議センター 5階 503
テーマ:
『メディカルプロフェッショナルに伝えたい!心電図の基本的な読み方』
座 長:
座長の言葉 井上  博(済生会富山病院)
池田 隆徳(東邦大学医学部内科学講座循環器内科学分野)

演題・演者:

  • アブストラクト 学校心臓健診における心電図で注意すべきポイント
    住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科)
  • アブストラクト 心電図の波形判読と疾患の鑑別
    横式 尚司(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学)
  • アブストラクト 不整脈デバイス患者での心電図の読み方のポイント
    河村 光晴(昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門)
共 催:
フクダ電子株式会社・教育講座2係
(URL:http://www.fukuda.co.jp/medical/course/me/shinden/shinden170917.html

教育講座2『メディカルプロフェッショナルに伝えたい!心電図の基本的な読み方』

循環器診療に携わるメディカルプロフェッショナルにとって心電図は欠くことのできない検査である。心電図を正確に読むことができれば診療の幅が大きく広がる。心電図が正常かどうかの判断はある程度できても、一歩踏み込んだ判読あるいは医師に助言できるまで理解しているメディカルプロフェッショナルは少ないように思われる。その理由は、心電図にはバリエーションがたくさんあり、心疾患ごとの特徴的な所見を覚えなければならないためである。どの学問においても王道はなく、地道に1つ1つ理解していくことがエキスパートになるための早道かもしれない。日本不整脈心電学会では毎年メディカルプロフェッショナル向けの心電図判読セミナーを開催しており、この度「メディカルプロフェッショナルに伝えたい!心電図の基本的な読み方」と題して、この領域に造詣が深く、かつ話し上手なお3人の先生方をお招きして講演していただくことにした。
横式尚司先生には、「心電図の波形判読と疾患の鑑別」と題して、P波・QRS波・T波・ST部分などの基本波形の読み方と波形診断による疾患の鑑別について、わかりやすく解説していただく予定である。次に、住友直方先生には、「学童検診における心電図で注意すべきポイント」と題して、QT延長症候群やカテコラミン誘発多形性心室頻拍などの学童期に見られる疾患の心電図診断のポイントについて、明快に解説していただく予定である。最後に河村光晴先生には、ペースメーカなどの不整脈デバイスが植え込まれた患者の心電図の基本的な読み方について、これまでの経験を踏まえながら解説していただく予定である。
臨床検査技師、看護師、薬剤師のみならず、心電図の判読を苦手にしている若手医師にも聴講を是非お勧めしたい。

学校心臓健診における心電図で注意すべきポイント

住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科)

平成6年12月に学校保健法施行規則が一部改正され、小学校、中学校、高等学校の1年生全員に心電図検査が義務づけられた。これらの対象者に対し、学校心臓検診調査票、学校医の診察、担任・養護教諭の日常観察に基づく学校からの要望に加え、心電図検査を実施し、これらを元に検診での異常者を抽出する。
学校心臓検診の主な目的は心疾患、不整脈を発見することであり、それぞれの疾患、不整脈に特徴的な心電図所見を見逃さないようにすることが重要である。心房中隔欠損など学校心臓検診で見られる主な先天性心疾患、心筋症、QT延長症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍、Brugada症候群、進行性心臓伝導障害など特徴的な心電図を挙げ、その読み方、これらを疑った場合に、どのような心電図記録が重要かなどを解説する。

心電図の波形判読と疾患の鑑別

横式 尚司(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学)

自発的に興奮することができる刺激伝導系のうち、生理的条件下で最も興奮頻度が高い洞結節がペースメーカーの役割をなすことにより、心臓は活動している。その活動は、心房筋、心室筋といった大部分の作業心筋が受動的に興奮することにより、収縮ならびに弛緩を繰り返すことで可能になる。収縮期の前半では、細胞膜の電気的興奮、すなわち脱分極によって生じた活動電位の0相が隣接した細胞に瞬時に伝導することにより、心室筋全体に同期性のある電気的興奮が生じ(QRS波の形成)、後半では活動電位が再分極すること(T波の形成)により、静止膜電位に復帰する(収縮期の終了)。このような心臓の電気的活動は、大きさと方向をもったベクトルであり、容積導体とされる人体を経由して巨視的に表現されたものが心電図といえる。
本セミナーでは、電気的二重層に基づいた心電図波形の成因を概説し、病態生理と心電図波形の関連性を考察することで、心電図判読による疾患鑑別の一助になることを目指したい。

不整脈デバイス患者での心電図の読み方のポイント

河村 光晴(昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門)

不整脈デバイスの進歩は著しく多種多機能のデバイスがある。徐脈性不整脈患者の治療にはペースメーカ植込み術が基本であり、年間約4万件の治療が行われている。
致死性不整脈に対しては突然死予防のために植込み型除細動器を植込む。さらに、薬物難治性の重症心不全に対しては両心室ペーシングを植込み、心不全の治療に役立っている。診断のために植込むデバイスもある。植込み型心電用データレコーダは重量が2.5gと小さいが3年間の電池寿命であり原因不明の失神の診断に役立つ。さらには皮下完全植込み型除細動器(S-ICD)やリードレスペースメーカなどの新しいデバイスが使用可能になっている。
これらのデバイスの心電図判読はとても重要である。ペースメーカ患者の心電図判読の基本は心房と心室をペーシングし、センシングすることである。ペースメーカの種類にはsingle chamberとdual chamberがあるがそれらの特徴を理解していないとペーシング不全やセンシング不全などの異常時の心電図判読は困難となる。
本講演の目的は、ペースメーカ心電図の正常波形と植込まれたリード部位の違いによる心電図波形の読み方、さらには異常波形の判読の仕方と対処方法などの基本的事項を学習することである。

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