The 34th Annual Meeting of the Japanese Society for Radiation Oncology

受賞記念講演のご案内

本年におきましては、Gold Medal受賞記念講演、海外名誉会員記念講演、阿部賞・梅垣賞受賞講演 以上3講演はオンタイム(およびオンデマンド)で配信することとなりました。受賞者は下記5名となります。

Gold Medal

中野 隆史

中野 隆史

(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門)

 この度はJASTRO ゴールドメダルを受賞させて頂き、ありがとうございました。ご推薦頂きました先生方をはじめ選考に当たって頂きました賞等推薦委員会の皆様に厚く御礼申し上げます。

 私は、昭和54年に群馬大学放射線医学教室に入局し、放射線腫瘍医としての人生を開始しました。そして、古典的な放射線治療(2D-RT)時代から3DCRT時代、画像誘導放射線治療/IMRT 時代を経験し、陽子線/ 重粒子線治療など、放射線治療の急速な発展の時代を過ごして来ました。群馬大学では新部英男前教授から臨床放射線腫瘍学と同時に放射線病理学、放射線免疫学を学び、放医研(現:QST病院)に移り、荒居龍雄先生から婦人科腫瘍の放射線治療、恒元博先生から粒子線治療の指導を受け、群馬大学に教授として赴任してからは、婦人科腫瘍の画像誘導腔内照射法(ハイブリッド腔内照射法)の臨床実用化を行い、普及型重粒子線治療装置による重粒子線がん治療の研究と診療を推進することができました。JASTROでは国際委員会、編集委員会をはじめ、評議員、理事等で多少とも貢献させて頂き、国際化の流れの中で平岡京都大学名誉教授とともにアジアの放射線腫瘍学連合(FARO)を創成できたことは忘れがたい思い出です。

 現在、QSTに移り、放射線医学全般をお世話する立場におりますが、放射線医学は量子医学に発展する流れの中で、未だに放射線腫瘍学の将来の発展を夢見ております。今回の受賞を励みに、今少しの間、わずかながらでも一緒に仕事をさせていただければ幸いでございます。この度は誠にありがとうございました。

海外名誉会員記念講演

Xian-shu Gao

Xian-shu Gao

(Peking University First Hospital)

阿部賞

尾池 貴洋

尾池 貴洋

(群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学)

 この度は名誉ある阿部賞にご採択いただき誠にありがとうございます。JASTRO賞等推薦委員ならびに理事の先生方、大会長の根本建二先生に深く感謝申し上げます。今回応募した研究成果は多くの先生方の努力の結晶であり、自身はそれを代表して本賞を拝受するに過ぎません。このため、研究内容については講演に譲り、本稿ではこれまでにご貢献、ご指導くださった先生方へ感謝を申し述べたいと思います。第一に、5報の審査対象論文の筆頭著者(共筆頭含む)である穴倉麻衣先生、AnkitaNachankar 先生、Endang Nuryadi 先生、小松秀一郎先生、佐々木泰史先生、萩原慶彦先生、松井利晃先生、吉本由哉先生に感謝いたします。同6/8名が当時大学院生であり、さらには当時大学院生だった小林大二郎先生、Napapat Amornwichet 先生、Mayang Permata 先生も共著者としてご協力くださいました。大学院生の先生方のチームワークとご貢献は特筆に値するものと存じます。第二に、歴代の婦人科班の先生方に感謝いたします。先生方による標準化された診療と検体管理がなければ本研究は遂行不能でした。第三に、これまで篤くご指導いただいた先生方に感謝いたします。鈴木義行先生は私を放射線科へ導いてくださいました。国立がん研究センターの横田淳先生、河野隆志先生、荻原秀明先生は生物研究の基礎を厳しくご指導くださいました。中野隆史先生、大野達也先生は暖かく自由な研究環境を与えてくださいました。櫻井英幸先生は過分な推薦状をくださいました。最後に、投げ出したくなったとき、いつも身近で励まし支えてくださった4名の同期入局の先生方、そして研究補助員の廣田由香氏に感謝いたします。今後は自己研鑽を続けることはもちろんですが、後輩が阿部賞に値する研究を主導できるよう、教育にもより一層注力する所存です。誠にありがとうございました。

梅垣賞

柴 慎太郎

柴 慎太郎

群馬大学重粒子線医学推進機構 重粒子線医学研究センター/
群馬大学大学院医学系研究科 腫瘍放射線学)

 この度は、梅垣賞という身に余る賞をいただき、誠にありがとうございます。これまでご指導いただいた、量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門部門長 中野隆史先生、群馬大学大学院医学系研究科 腫瘍放射線学 教授 大野達也先生、また、今回ご推薦いただいた量子科学技術研究開発機構 治療診断部 部長 若月優先生に、この場をお借りして心から感謝申し上げます。

 本研究のはじまりは、医学物理士との何気ない会話から始まり、照射室内で生体に炭素イオン線を照射したものをコンプトンカメラで観察したことがないので実験してみよう、というようなスタートでした。コンプトンカメラでマウスの腹部に照射部位を確認できた時は興奮したのを覚えています。

 本研究では、実験結果から、コンプトンカメラによって、生体内の炭素イオン線の飛程や陽電子放出核が体内輸送によって照射野外にも拡散される様子をリアルタイムで観察することが可能であることを証明したものとなります。

 今後、コンプトンカメラによってintra-およびinter-fractionalな変化を測定し、adaptive therapyに活用することを目標としています。測定された飛程や線量分布の変化に応じて粒子線のエネルギーを調整することにより、線量分布の悪化を低減し精度の高い治療ができる可能性があります。本研究成果を礎とし、コンプトンカメラを用いたadaptive therapyの研究を進め、粒子線治療のさらなる成績向上・有害事象低減に貢献したいと考えております。

 今回の受賞を励みに、より一層精進して参りたいと思います。この度は本当にありがとうございました。

梅垣賞

武者 篤

武者 篤

(群馬大学 重粒子線医学センター)

 この度は、梅垣賞にご採択頂きまして、これまで本研究にご協力いただいた患者さんや群馬大学の大野達也先生はじめスタッフの方々、日々サポートしてくれた家族、そして日本放射線腫瘍学会の理事会および会員の皆様、ご推薦頂きました埼玉医科大学の高橋健夫先生に心から感謝申し上げます。

 今回ご採択頂いた研究は、重粒子線治療後の開口障害についての研究です。重粒子線治療により病変の制御はできても、開口障害に苦しむ患者さんを目の当たりにし、開口障害の発症率を抑える方法はないかと模索しておりました。X線治療では顎関節周囲筋の照射線量が開口障害に起因するという報告は散見されますが、重粒子線治療ではこれまで詳細な報告はありませんでした。

 本研究では、重粒子線治療による開口障害は、X線治療と同様に咬筋への最大線量が最も関連していることを確認しましたが、それだけではなく、骨構造である筋突起への線量も起因していることを見出す事が出来ました。解剖学的な側面からは、筋突起の筋付着部(腱組織)への線量もその誘因として考えられます。本研究の示す結果は、「考慮すべきは筋への線量だけではない」という常識を覆す可能性を含み、今後の発症機序解明の一助となることが期待されます。そして、咬筋と筋突起では輪郭形成の効率化を考慮すると、咬筋はCT視認性が低く、スライス数が多い一方、筋突起はCT視認性が高く、スライス数が少ない為、筋突起を開口障害発症予防の新たな簡易的指標として提案しました。

 本研究が、重粒子線治療後の患者さんのQOLに少しでも貢献できれば幸いです。今後も、治療に対する不安や有害事象の軽減に貢献できるよう全力で取り組む所存です。

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