第10回日本神経内分泌腫瘍研究会学術集会

ご挨拶

第10回日本神経内分泌腫瘍研究会学術集会
会長:細野 眞
近畿大学医学部放射線医学教室

謹啓

このたび、第10回日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS)学術集会を2022年10月1日(土)に国指定重要文化財である大阪市中央公会堂にて開催させていただく運びとなりました。放射線科医が担当する初めての学術集会となり、このような機会を賜りました上本伸二理事長はじめ、すべての会員の皆様に心より御礼申し上げます。
今回の学術集会のテーマを「NEN探究と実践」としました。神経内分泌腫瘍(NEN)の診療にあたって、患者さんを中心にして、外科・内科・病理診断科・放射線科などの診療科が集学的に取り組み、課題の解決に向けて探究し、その成果を臨床の実践に還元するという基本姿勢を謳うことを意図しました。とりわけ今回の学術集会に先立ってペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)が国内承認・保険収載されたことがNEN診療発展のマイルストーンであり、ここに至るまでの今村正之前理事長、上本伸二現理事長、臨床試験を指揮された市川靖史先生、ガイドラインを整備された伊藤鉄英先生はじめ本研究会の先生方のご尽力の賜と言えるものと存じます。私はPRRTの開発に従事した海外の研究者たちとも交流がありますが、1990年代から努力を積み重ねてPRRTを実用化に至らしめた彼らの熱意には心から敬服します。PRRTの開発の経緯は人間味あふれた科学の物語でもあります。アイソトープを使ったイメージングや治療に携わってきた一放射線科医である私としても、PRRTの国内導入に関わることができたのは得がたい経験です。
従来のソマトスタチンアナログ、分子標的薬、細胞障害性抗癌剤の薬物療法に加わったPRRTを我が国のNEN診療にどのように組み込んでいくか、アイソトープによる放射線治療という特性とともに実地の臨床における環境整備も含めて今回しっかり議論を深めてNEN診療の一助となれば幸いです。

会場の大阪市中央公会堂は、大阪市の中心にある中之島に位置し、都心にありながら北に堂島川、南に土佐堀川が流れ緑と水に囲まれて大阪の文化・芸術の発展を象徴する歴史的建築です。このような場でNENに関する領域横断的な興味深い最新情報や知識を共有していただける機会を設けることができることをたいへん光栄に存じます。大勢の皆様のご参加をお待ちしております。

謹白