第58回制癌剤適応研究会
当番世話人 調 憲
(群馬大学医学系研究科 総合外科学講座 肝胆膵外科学分野 教授)
この度、第58回制癌剤適応研究会の当番世話人を拝命し、心より光栄に存じます。歴史と
伝統のある本研究会のお世話をさせていただく機会を賜りましたこと、会長 小寺 泰弘先生を始めとした世話人の先生方に心から感謝を申し上げます。
過去の当番世話人の先生方のお名前を拝見するといずれも癌治療に大きな足跡を残された
先生方ばかりで、今更ながら自らを振り返れば忸怩たる思いではありますが、皆様と少しでも最新の研究成果や情報を共有できますよう、努力をしてまいりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。群馬大学としては桑野 博行先生が第46回の本研究会を当番世話人として開催
させていただきました。第58回の研究会は2026年2月27日(金)に、軽井沢プリンスホテル
ウエストで開催する運びとなりました。
さて、癌の集学的治療は近年その重要さを増すばかりですが、昨今の新規制癌剤の開発に
よって消化管の癌はもちろん、難治性の肝胆膵の癌にも適応されるようになってきました。
免疫チェックポイント阻害剤や分子標的治療薬の開発も進み、Conversion Surgeryなどの
症例も散見されています。近い将来、多くの癌の治療において、遺伝子パネル検査に基づいた個別化治療によって難治癌の治療成績も飛躍的に向上する時代が遠からずやってくると確信
しております。
今回のテーマは“難治癌に総力戦で挑む”とさせていただきました。
私がまだ若手のスタッフだった30年以上前、私と同じ大学の工学部の学生が入院してきました。B型肝炎の垂直感染を原因とした20㎝を超える門脈腫瘍栓を伴う肝細胞癌でした。動注
化学療法を強力に行い縮小を得た後肝切除を行ったところ、完全に治癒しました。故郷に帰った患者さんから「元気にやっています。」と今も年賀状をいただきます。この様に集学的治療は進行癌であっても患者さんを死の淵から治癒へ導ける可能性を秘めています。免疫チェック
ポイント阻害剤、新たなバイオマーカー、外科治療、放射線療法などの組み合わせによる
集学的治療は“総力戦”のイメージに相応しいと思い、企画をさせていただきました。
実り多き研究会となりますよう、教室をあげて準備を進めて参りますので、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
2025年2月吉日
© 2025 The 58th Annual Meeting of Japan Research Society for Appropriate Cancer Chemotherapy